【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ48)

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４０：精製＜土方歳三＞ページ48

夕餉が終わり、全員が散り散りに
部屋を出て行った事を見計らうと、
千鶴を連れて斎藤の部屋へと向かった。

千鶴「何故、斎藤さんのお部屋に？」

土方「この時期は外で見守るにしても寒いし、
月明りで影が見えちまうとAに気付かれちまう。
斎藤とAの部屋は襖一枚で隔てられてるだけだ。
その襖の前で見守ってやった方がいいんじゃねえか？」

斎藤にはこの事は言ってねえけど、
まっ、斎藤なら拒否はしねえだろう。

斎藤の部屋の障子を声も掛けずに静かに開く。
中にいた斎藤はかなり驚いた様子で
声を出そうとしていたが、それを俺が止めた。

土方「悪いな。ちょっとこの部屋、貸してくんねえか？」

斎藤「は？それは構いませんが…。何を？」

土方「千鶴から言われてな。Aの様子見だ」

斎藤「覗き、ですか？」

土方「人聞き悪い事を言ってんじゃねえよ」

千鶴「私がお願いしたんです。
Aを見守って欲しいって」

ヒソヒソ声で話をし、斎藤の了承を得た。
襖の前で三人で座り、ほんの少しだけ開ける。

そこから中の様子を見るが、Aの姿はなかった。

土方「いねえぞ？」

千鶴「身を清めに行ってるんだと思います」

一度襖を閉め、Aが戻ってくるのを待った。

しばらく待っていると、庭を歩いてくる人の足音が聞こえ、
もう一度襖をほんの少しだけ開けた。

すると、全身ずぶ濡れのAが部屋に入ってくる。

こんな寒い時期に…。
風邪引くぞ。

そんなAの姿を見ても、
千鶴は絶対に声を出すなと仕草で訴えかけてきた。
仕方なく俺たちは静かに様子を窺う。

敷かれた布団の上には、
昼間、俺が持って行った桶が置いてある。

ん？あれは何だ？
小さな木の板か…？

その隣には真っ白な手ぬぐいと、
今朝、お清めだと言って神社に持って行った千鶴の小太刀。

どのように使い、
どのように精製するのかと息をのんで見守った。

千鶴「始まります…」

小さな声で千鶴がそう告げると、
Aは置いてあった小さな木の板に
真っ白い手ぬぐいを巻き、
それを口に咥えてきつく縛った。

まるで今から拷問でも受けようって姿じゃねえか…。

そんな異様な姿に、
斎藤も息をのんで冷や汗を垂らしている。