【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ45)

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土方「言い忘れる所だった。
お前ら、Aが戻るまで
Aの部屋には絶対に入るなよ」

山南「何かあるんですか？何だか用意周到ですが」

土方「Aが戻ったら本人に聞いてくれ」

一通り申し送りをすると、
土方さんは朝餉の膳に手を付け始める。

それを合図にしたかのように、
皆さんも朝餉を食べだした。

すると、隣に座っていた原田さんに肩を叩かれる。

原田「Aは何をするんだ？」

千鶴「え？……あの…」

永倉「一人で出かけるって訳でもなさそうだよな」

千鶴「それは土方さんが許可を出さないと思いますよ」

お二人は気になるようで、
自分たちが思いつく事を並べる。

Aが土方さんに口止めをしたのならば、
私もそれを守らなくてはいけない。

あんな姿、私だって見られたくないもの…。

千鶴「Aも疲れているんだと思います。
たまにはゆっくりさせてあげましょう？」

原田「それもそうだな。千鶴、
困った事があったら何でも遠慮せずに言えよ」

永倉「俺だって手伝うからな！」

千鶴「ありがとうございます」

お二人を心配させないように
笑顔を消さないよう努めた。

Aがいない以外は普段と変わりない朝餉も終わり、
私は炊事場で後片付けを行う。

食事が終わる頃に土方さんは
「俺は出かけてくる」と言って出て行ってしまった。

きっとAに付いていってるんだろうな。

昨日、私の部屋をAが訪れた時に渡した小通連。
あれは変若水を作る時に必要となる小太刀だ。

そのお清めをするために神社へ行かなければいけないから、
土地勘のないAを土方さんが連れて行くのだろう。

斎藤「少し、いいだろうか？」

千鶴「どうなさいました？」

また考え事をしながら作業をしていると、
後ろから斎藤さんが声を掛けてきた。

いつもと変わらない無表情。

何を考えているのかは、さっぱり分からない。

斎藤「Aの事なのだが…」

千鶴「A？Aがどうかしましたか？」

斎藤「あんたはAが暇を貰った理由を
知っているのだろう？」

千鶴「…………はい」

Aなら姉である私に何も言わず暇を貰う事なんてしない。
それを斎藤さんは分かっているから、
誰もいない今を狙って聞きに来たんだろうな…。