【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ44)

今日:34 hit、昨日:31 hit、合計:119,235 hit

３９：いない朝＜雪村千鶴＞ページ44

翌朝。
Aの代わりにお手伝いをしてくれる
三番組の端子さんと一緒に朝餉を作っていた。

特に会話なんてものは無く、
黙々と、淡々と準備を進めていく。

こんな静かな朝餉の準備は久しぶりだな。
Aは今頃どうしているだろうか…？

変若水を作るのには何かと準備が必要で、
きっと朝からAはその準備をしているんだろうな…。

昨日Aが私の部屋を訪れ、
変若水を作ると聞いた時は居た堪れない気持ちになった。
Aは否定したけど、
やっぱりAの変若水を使ってしまったのは
私のせいだから…。

何でAばかり辛い目に合わなきゃいけないのかな？
何で私がその代わりを担ってあげられないのかな？

隊士「雪村さん。準備終わりましたけど…」

千鶴「あ、ごめんなさい。配膳しましょう」

朝餉の準備中、Aの事ばかり考えてしまって、
ほとんど隊士さんにやらせてしまった。

Aは覚悟を決めて作ろうとしているのに、
そのAの邪魔だけは出来ない。

私は、何をしているんだろう…。
こんなんじゃ、Aに申し訳が立たないよ。

隊士さんと一緒に配膳を済ませると、
食事場に幹部隊士さんたちが全員集まった。

土方「今日から三日程Aに暇を与えたからな。
Aがいない間は千鶴も大変だろうから、
お前ら手伝ってやれよ」

原田「Aが暇を取るなんて珍しいな。何かあったのか？」

土方「……たまにはAだって休みてえだろうよ」

永倉「そりゃそうだよな。
ここに来てからAちゃんは働き詰めだったしな」

原田「しかしAがいないとなると、
千鶴も寂しいんじゃねえか？」

千鶴「そ、そうですね…」

土方さんがAが暇を貰った理由を話さないって事は、
Aから口止めされてるのかな？

何も知らない方が幸せな事もある。
皆さんが知らないなら、知らない方がいい…。

土方「新八。後で畳と布団の手配しておいてくれ」

永倉「は？畳？布団？？」

土方「Aからの依頼だ。絶対に忘れんなよ。
それと千鶴。明日の朝になったら
Aの部屋に水を持ってってやれ。
これもAからの依頼だ」

千鶴「分かりました」

お水か…。

変若水の精製には体力と気力がいる。
明日の朝にはAに会えるから、
その時に様子を窺うしかないかな…。