３８：お暇 ページ42
元治２年１月末。
私は土方さんの部屋を訪れていた。
A「三日程、お暇を頂けないかと思いまして」
土方「は？」
私が部屋に入っても動かしていた筆が止まった。
A「年も明けましたし、
そろそろ変若水の精製をしたいんです」
土方「そういやお前らの村から帰って来た時に
そんな事を言ってたな」
私の変若水は姉様に使ってしまったし、
斎藤さんに付いてきてもらって材料も持って帰ってきた。
変若水がない状態でずっと過ごすのは心元ないし、
なるべく早く手元に置いておきたかったのだけれど、
何かと忙しくて出来ていなかった。
お正月も終わったし、
今は特に新選組に動きがあるわけじゃないから、
やるなら今かなって思ったんだ。
土方「暇をやるのは構わねえが、
千鶴一人になっちまうからな。
お前の代わりが出来る奴なんて……いるか？」
A「うーん…、平助君は…。
今は江戸に行っていますしね」
土方「いねえ奴を使う事はできねえな」
A「原田さんなんてどうでしょう？」
土方「千鶴が気を遣いそうだな」
A「では永倉さん…」
土方「あいつの飯は不味い」
A「斎藤さん…？」
土方「あいつは一番忙しい。仕事が出来るからな」
A「……沖田さ、うーん…」
土方「お前の中で総司は論外なんだな」
論外ってわけじゃないけど沖田さんのご飯は塩っ辛いし、
掃除も姉様が主体になっちゃうだろうし…。
候補に出した幹部隊士さんたちの名前は
ほぼ却下に等しい答えしか出てこなかった。
どうしよう…。
私が頼める人の名前が、もうない…。
それから長い沈黙が流れた。
土方「あ！それなら三番組に頼むか」
A「隊士さんたちにですか？」
土方「三番組なら斎藤がきっちり仕込んでやがるからな。
仕事もしっかり出来るだろうよ」
A「もし請け負っていただけるなら、
明日からお願いしたいのですが…」
「話を付けてくる」と言い立ち上がって
部屋を出て行ってしまった。
主がいない部屋にいていいものかと考えたけど、
話が終わっているわけではないし、待つしかない。
しばらくして土方さんが上機嫌で戻ってきた。
土方「話は付けてきてやった。
当番制でやってくれるとさ」
隊士さんたちも忙しいだろうに、申し訳ない。
それでも請け負ってくれるなら有りがたい話だ。
A「あと、お願いがあるんですが」
土方「何だ？」
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - き。気になります。 (2020年5月23日 9時) (
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作者名：まほろ | 作成日時：2019年8月31日 3時
