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37:帰路 ページ41

二年詣も終わり、私たちは帰路へ着いた。
その間も斎藤さんと話をしている。

話ながらと言っても、話しかけているのは私だけだけど。

それでもこんなに穏やかで、こんなに自由で。
何の重荷もないお正月は初めてだ。

夜風に当たりながらの楽しい二年詣は、
屯所の門まで来た事で終わりを告げた。




土方「寒いからな。ちゃんと暖かくして寝ろよ」

A「はい。今日はありがとうございました」




二人で土方さんと斎藤さんにお辞儀をして中へ入る。




千鶴「楽しかったね」

A「うん!飴細工を買ってもらえるなんて
思ってなかったよ」

千鶴「食べて無くなっちゃうのが勿体ないな…」

A「当分は飾る!」

千鶴「か、飾るの?」




え?飾っちゃ駄目なのかな?
確かに食べ物ではあるけど…。

少しだけ飾って、ちゃんと食べよう!




A「あ…」

千鶴「どうしたの?」

A「これ、返すの忘れてた…」




飴細工を視界に入れた時に見える、
首に巻かれた白い襟巻。

当たり前のように使っていたけど、これは斎藤さんのだ。




A「返してくるから、ちょっと待ってて!」

千鶴「いってらっしゃい」




落とすと困るから、飴細工は姉様に渡して走り出す。
向かう途中に首から襟巻を外すのだが、
急激な寒さに身震いした。

後ろを歩いて来ないって事は、
たぶんまだ門の前にいるはず。

その予想は当たり、
門の前で二人が立ち話をしている姿が見えた。




A「す、すみません!これ、お借りしたままでした」

斎藤「部屋は隣なのだから後でも良かったのだが…」

A「あ…。そういえばそうでしたね」

土方「お前、しっかりしてそうで抜けてるよな」

A「ひ、否定はできません…」




いつも私のドジ加減で土方さんが笑ってる気がする…。

私だけが暖かくて、
斎藤さんが寒そうなのが気になっただけだもん!

早く返さなきゃって思っただけだもん!




A「あ…。洗ってお返しした方がいいでしょうか?」

斎藤「いや、構わぬ」

A「すみません。ありがとうございました」




手に持っていた襟巻をお返しすると、
頭を下げて姉様の元へと走る。

やっぱり部屋に戻ってからお返しすればよかった!
この寒空に襟巻はとても有効だな…。


こうして新選組に来てから
初めての二年詣は終わったのであった。

38:お暇→←****



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - き。気になります。 (2020年5月23日 9時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年8月31日 3時

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