【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ5)

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土方さんの部屋へ行くまでの間も
頭の中はグルグルと
考えが止まる事はなかった。

斎藤「副長、斎藤です」

土方「戻ったか。入れ」

斎藤「失礼します」

斎藤さんが障子を開ければ、
その中はとても暖かく感じた。

そう感じられるだけの間、
外で考え込んでいたって事だな…。

土方「あ？Aも一緒とか珍しいじゃねえか」

斎藤「縁側で呆けていましたので話を聞けば、
俺たちに聞きたい事があるそうです」

土方「聞きたい事？とりあえず入って閉めろ。
せっかくの暖が逃げちまうだろうが」

部屋の中では文机に向かって
文書を作成している土方さんの姿。

この人いつも仕事しているけれど
大丈夫なんだろうか…？

斎藤さんに続いて部屋の中に入り、
障子を閉めて座った。

土方「それで？聞きたい事って何だ」

A「昨夜の事なのですが…」

土方「ああ、それなら
俺も話がしたいと思っていた」

A「では順を追ってお話しましょうか」

土方「それがいいな。
それで？あいつらは何なんだ」

明確な質問が飛んでくる事は
とても有難い。

今の私には順序立てて話をしても
頭が混乱しているし、
思考が纏まっていないから
上手く話せないと思っていたんだ。

A「昨夜、姉様を襲った者たちは鬼です。
しかも純血の…。
そして、あの鬼たちの姓は初霜。
鬼たちから"はぐれ鬼"と呼ばれた先祖がいます」

土方「はぐれ鬼？」

A「はぐれ鬼というのは
鬼の掟を破ってしまった者、
または一族から追放された鬼の事です。
はぐれ鬼という烙印を押された者は忌み嫌われ、
その烙印を押された者が一人でもいる一族は
一族ごとはぐれ鬼として扱われてしまいます。
そのはぐれ鬼を先祖として持つのが初霜家です」

土方「そのはぐれ鬼たちが
何で千鶴を狙ったんだ？」

A「どうやら初霜の者たちの狙いは
"東国の頭領の座"のようです。
ですので、人違いで姉様を攫ったのだと思います」

土方「っつうことは、
本当はお前が攫われてたかもしれねえって事か」

A「ただの推測ですが、
そう考えるのが妥当だと思います」

斎藤「しかし、
あんたたちを狙う必要があるのか？」

そう思うのは普通だ。
私たち雪村家はほぼ滅んでいるのだから…。