【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ40)

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土方「さて、行くか」

土方さんの一言で俺たちは、
先ほど参拝した境内に向かってまた歩き出す。

雪村はまた土方さんと歩いているからなのか、
Aは俺の隣へ来て歩いている。

斎藤「何故見た事がないのだ？
飴細工など、さして珍しい物でもないだろう」

ただ疑問に思っただけ。
その疑問を晴らしたいだけの為に聞いただけだった。

だが、その答えは意外なもので、
俺の想像を遥かに超えていた。

A「私たち雪村家は鬼ですから。
二年詣をする時は被衣(かずき)を使って角と髪を隠します。
もちろん角も髪も自分の意思で隠す事が出来るので
被衣なんて必要はないのですが、それが習わしでした。
なかなか出店を視界に入れる事が出来なかったんです。
それに、人とはなるべく関わらないようにしていましたので、
見えない方が私たちには都合が良かったのかもしれません」

それ程までに人との関わりを絶っていたのか…。

俺たちとは違う文化の中で育ち、
俺たちが当たり前のように知っている事をAは知らない。

いつ、どのように飴細工について知ったのかは分からないが、
飴細工という可愛く綺麗な物が
世の中にはあるのだと知った時、
Aは興味が出たのだろうと推測できる。

Aにとって人の世とは
目新しい物ばかりなのだろうな。

だからこそ、それに出会った時は
子供のような反応になってしまうのは
致し方ない事なのだろう。