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二人で出店を見ながら歩いていたのだが、
境内に近づくにつれて出店も少なくなる。
出店が少なくなればAの立ち止まる回数も少なくなり、
順調に歩いてくれるようになった。




千鶴「Aー!」




少し遠くの方から雪村の声が聞こえ、
Aは俺の手を放してそちらへ駆けて行った。

暖かく感じていた手が急に寒空の空気に晒され、
少しだけ寂しさを覚えた。


……だから、何で寂しくなるのだ!
ただ、はぐれないように引いていただけではないのか!


Aが雪村の隣へ行って話をしていると、
土方さんが俺に向かって歩いてくる。




土方「あれ、お前のだろ?」

斎藤「寒そうでしたので」

土方「ふーん。お前でもそんな事するんだな」




おかしいだろうか?
寒そうにしている女子(おなご)に貸しただけ。

土方さんの意図が読めなかった。

参拝も終わり出店が並ぶ道まで戻ってきたのだが、
ふと前を見れば、雪村がAに顔を近づけていた。

そうかと思うとすぐに離れ、雪村は苦笑いをしている。
その反応にAは首を傾げて何かを告げていた。

ここからでは人混みでの騒音で
何の話をしているのかは分からない。
姉妹での他愛もない話だと勝手に決め込む事にした。

前を歩く姉妹の少し後ろを土方さんと歩いていると、
今度はAが雪村の袂引っ張り、
一件の出店を指さしながら立ち止まった。

何事かと思い、俺と土方さんは歩を速めて近寄る。




土方「どうした?」

A「飴細工です!
出店にあると伺ったので探していました!」




ああ、あの立ち止まっては何かを探していたのは、
飴細工の店を探していたのか。




土方「飴細工なんざ珍しくもないだろ」

千鶴「Aはこういう物を見た事が無いんですよ」

斎藤「は?」




見た事がないとは…?

さすがの俺でも飴細工ぐらいは見た事がある。

視線をずらしてAを見れば、
雪村の言葉に苦笑いを浮かべていた。

そんなAを見てか、土方さんが飴細工の店に足を向け、
二つの飴細工を購入して姉妹に差し出す。




土方「ほらよ」

千鶴「い、いいんですか?」

土方「別に構いやしねえよ。こんなんでいいのか?」

A「はい!ありがとうございます!」




土方さんから受け取った綺麗な飴細工を見つめて、
Aは目をキラキラとさせて喜んでいる。

まるで子供みたいだな。
そんなAを見て土方さんも満足そうだ。

****→←36:大晦日<斎藤一>



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - き。気になります。 (2020年5月23日 9時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年8月31日 3時

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