【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ34)

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原田さんの姿にぎょっとした。
綺麗な浅葱色の羽織のはずなのに、
羽織の半分が血に塗れている。

A「だ、大丈夫ですか？！」

原田「ああ。怪我はしてないんだけど、
ちょっと斬り合いになっちまってな」

話を聞いてみると、巡察中に不逞浪士に遭遇。
その不逞浪士たちが浅葱色の羽織を見て
喧嘩を吹っかけてきたらしい。

それに対して最初は宥めようとしていたのだけれど、
相手が刀を抜きだしたから
仕方なくといった感じのようだった。

幸い新選組側に怪我人は一人も出なかったが、
相手を斬った時に返り血で汚れてしまったらしい。

A「羽織は明日も使われますか？」

原田「いんや。明日は俺の組じゃねえし、
使わないと思うぜ」

A「それなら洗っちゃいますね。
染みになってしまいますから」

怪我がないと聞き、心底安心した。
原田さんの後ろに回り込み、
原田さんの着物に血が付かないように羽織を脱がす。

脱がした羽織を一旦井戸の淵に掛けて、
手ぬぐいを水に濡らしてから原田さんの顔に当てた。

A「顔に付いていますよ」

原田「拭いたと思ったんだけどな…。ありがとよ」

身長差がありすぎるからなのか、
見下ろされる形で微笑まれている。

A「はい、出来ました！
汚れている羽織は原田さんだけですか？」

原田「俺ほどではないけど、何人かのは汚れてたな」

A「すぐに持って来てください。
それも洗ってしまいましょう」

「了解」と原田さんは言いながら去っていく。
その姿が見えなくなってから
井戸の淵に掛けていた羽織を広げてみた。

これ、ちゃんと落ちるのかな？
もしかしたら綺麗には落ちないかもしれない…。

羽織を水に浸ければ、その水は薄い赤色に染まる。
その中である程度洗うと、水は赤黒く汚れてしまった。

そんなのは想定内だ！

何度か水を替えては洗いを繰り返していると、
原田さんが数枚の羽織を持って戻って来た。

原田「これなんだけど、これも明日は使う予定ないから」

A「分かりました。洗っておきますね」

笑顔で羽織を受け取り、それも水に浸けておく。

こっちはすぐに落ちそうだな。
原田さんのだけは染みになっちゃうかもだけど…。