【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ4)

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２３：思案ページ4

姉様が連れ去られそうになった
翌日の昼下がり。

私たちが屯所へ戻ってきてから
降った雪が積もり、
朝には一面銀世界になっていた時には驚いた。

おかげで毎朝の庭掃除はなしになったけど。

庭掃除以外の家事を全て終わらせて、
縁側に座って昨夜の事を考えていた。

鬼にまがい物を飲ませるなど聞いた事がない。
しかも、そのまがい物を
研究しているのは新選組。

それがいくら幕命として秘密裏に受けているが、
その物自体があるのはここだ。

それなら鬼にまがい物を飲ませたのは
新選組の誰か…？

いや、それなら昨夜の長州の捕り物を
行う時にするはずがない。

それにあそこには
幹部隊士さんたち全員がいた。

前に土方さんが言っていた。
あのまがい物については
幹部隊士さんたちしか知らないって。

という事は、新選組が
鬼に飲ませたとは考えづらい。

じゃあ誰が…？
誰が鬼にまがい物を飲ませて、
雪村家から頭領の座を奪い取ろうとしたの？

それに、あの鬼たちは初霜の家系の鬼だった。
初霜家が、はぐれ鬼の先祖を持つ事を
知っている人…。

鬼の一族なら、それを知ってはいるけど…。

斎藤「こんな所で呆けていては風邪を引くぞ」

話しかけられたために振り向けば、
そこには浅葱色の羽織を着た
斎藤さんが立っていた。

巡察の帰りかな…？

昨日着ていた羽織は私が血まみれにしてしまい、
洗濯をしてしまったから
予備の羽織を着ていったのだろう。

それを考えると申し訳ないと思う。

A「おかえりなさい。
昨夜の事を考えていました」

斎藤「何か気になる事でもあるのか？」

A「うーん…。不思議な事が多くて」

斎藤「良ければ聞かせてはもらえないだろうか」

A「楽しい話ではないですよ？」

少し冗談っぽく苦笑いをしながら言えば、
斎藤さんは小さなため息を吐く。

斎藤「昨夜の話を楽しいと思う馬鹿はいない」

A「……それもそうですね。
じゃあ聞いてもらおうかな…？
一人で悩んでいたので行き詰っていたんです。
それに、私も聞きたい事がありますし」

斎藤「聞きたい事？
それならば副長を交えても良いだろうか？」

A「構いませんよ」

斎藤「巡察の報告もせねばならんからな。
ついて来てくれるか？」

コクンと小さく頷き、
座っていた縁側から立ち上がって
後ろを付いて歩いた。