【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ28)

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３３：大掃除ページ28

さすがに隊士さんたちの
部屋側を掃除するわには
いかないから、
あっちは姉様に任せてしまった。

大丈夫かな？
あっちもあっちで広いから、
姉様一人ではないにしても大変だろうな…。

そんな私は幹部隊士さんたちの部屋側の
廊下や柱の拭き掃除をしている。

しばらく掃除をしていると、
廊下を走ってくる足音が聞こえてきた。

千鶴「A、こっち終わったよ！」

A「早いね！」

走ってくる足音は姉様で、
さっきまで使っていたであろう雑巾を
持ってやってきたんだ。

姉様に聞けば、どうやらあちらは隊士さんたちも
雑巾がけをしてくれたらしく、
予定より早く終わってしまったそうだ。

こっちは一人でやってるから全然終わらないよ…。

普段から拭き掃除もやってるけど、
ここまで丁寧にやらないし、柱も拭かない。

姉様は水を張った桶に雑巾を浸して絞り、
拭き掃除を手伝ってくれた。

A「お水、換えてくるね」

千鶴「うん、ありがとう」

姉様に一言告げてから桶を持ち、
井戸へ向かって歩き出す。

いつもとは違う喧噪に包まれる屯所。
廊下を行ったり来たりする
浅葱色の羽織を着ていない隊士さんたち。

ああ、これで今年も終わるんだな…。

なんて物悲しさを覚えたけれど、
この一年…、いや、半年はとても濃かったと思う。

その濃さの中には苦しさもあったけれど、
新鮮な事や楽しい事がたくさんあって
思い出すだけで頬が緩んでしまう。

井戸に辿り着き、
汚れた桶の水を捨てて新しい水に替える。
ふと横を見ると道場が見えて、
そこから斎藤さんが桶を持って出てきた。

斎藤さんもお水を替えるのかな？

水を替えたばかりの桶を持って
斎藤さんへと歩みを寄せた。

A「お水ですか？」

斎藤「ああ」

A「良かったらこれ、どうぞ」

持ってきた桶を差し出したんだけど、
斎藤さんは受け取ろうとはしない。

遠慮、してる…？

斎藤さんの後ろを見れば、右往左往しながら
掃除をする隊士さんたちが目に入った。

A「早く行ってあげないと、
掃除が終わりませんよ」

斎藤「……すまない」

A「いいえ。
その桶は私が貰いますね」

やっと動いた斎藤さんに
押し付けるように桶を差し出せば、
おずおずとそれを受け取ってくれる。

そして斎藤さんが持っていた桶を受け取って、
踵を翻して井戸へと戻った。