【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ26)

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３２：一石二鳥ページ26

元治元年１２月２８日

私たちの故郷へ帰ってから
２週間ほど経った。

あの後、土方さんへ報告には行ったけれど、
核心的な事は書かれていなかった事を言えば
土方さんは肩を落としていた。

それでも姉様が巡察に付いて
雪村綱道を探している間に
何か掴めるかもしれないという話になった。

そして私はいつも通り
庭掃除から始めたのだけれど、
今日は大掃除だから一人ではない。

千鶴「Aー！」

少し遠くの方から姉様の声がして、
そちらへ目線を向ける。

何で鍋なんて持ってるんだろう？
庭掃除には必要ないと思うんだけど…。

千鶴「集めた落ち葉で焚火しよう！
それで朝餉の準備をすれば一石二鳥だよ！」

なるほど。
そういう事か。

掃除もしなきゃいけないし、
朝餉も作らなきゃいけない。

どのような時間配分で行おうかと考えていたけど、
姉様の提案で悩みは吹っ飛んだ。

少しの間、二人で庭の掃き掃除をすれば
そこそこ落ち葉が集まり、
姉様はその落ち葉の山に火をつけた。

この寒空の下でパチパチと音を立てながら
燃える落ち葉はとても暖かい。

せっかくだし、枯れ枝とかも燃やしちゃおう。

そこそこ火も大きくなり、
その焚火の上に鍋が置けるよう工夫して
鍋を火にかける。

鍋の下には竹串に刺した
干物を地面に突き刺して焼いた。

原田「おーい、持ってきたぞ」

そろそろ鍋に入れた水が
お湯になろうとしていた時、
原田さんが何かを持って庭に来た。

ん？あれは、笊(ざる)？
笊なんて何に使うんだろう？

京は不思議な出来事が立て続けに起こるな。
なんて思っていると、
姉様は嬉しそうに原田さんに向かって駆け出した。

千鶴「原田さん、ありがとうございます！」

原田「こんな所で作るのか？」

千鶴「たまにはいいかなと思って。
掃除も出来て朝餉も作れるんですよ！」

原田「火には気を付けろよ。
そんじゃ、俺は大掃除の続きしてくるわ」

姉様に笊を渡して、
来たばかりの道を戻って行ってしまった。