【新しい父からの文】 ページ20
Aへ
この手紙を読んでいるということは、お前は生き延びたんだね。
父は嬉しく思います。
これが父からの最後の文。どうか身勝手な話を聞いてくれ。
村を襲撃した犯人については書かない。
Aに犯人探しのような事はさせたくないからだ。
雪村家はずっと人との関わりを絶ってきたが、どうか人という存在を誤解しないでおくれ。
中にはとても優しく温かい人もいる。
出来る事なら私たちは人との関わりを持ち、人との共存を望んでいた。
しかし、それも村の物たちとの衝突を恐れ、その掟を見直す事が出来なかった。
だが、今や口煩い年寄りたちもいない。
どうか人との共存を試みて欲しい。
それでも鬼の力を利用したがる者もいる。
きちんと見極める目を養い、私たち鬼を道具として利用しない人たちを見つけて欲しいと思う。
私の一番の心残りはAと千鶴の花嫁姿を見る事が出来なかった事だ。
それでもいつか良い伴侶を見つけ、幸せになって欲しい。
これが父からの最後の願いだ。
東国の頭領、雪村
お前には重責かもしれん。
それでもどうか、父に代わって務めを果たしておくれ。
そして父の叶わなかった願いを叶えておくれ。
悔いはたくさんあるが、それでも薫や千鶴とAの父になれて、とても幸せだったよ。
産まれて来てくれて、ありがとう。
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - き。気になります。 (2020年5月23日 9時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まほろ | 作成日時:2019年8月31日 3時