【薄桜鬼】純血を巡る者２ (ページ15)

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ピトン…。

A「きゃあ！」

斎藤「もしかして怖いのか？」

A「そ、そんな事…」

斎藤「あるんだな」

A「う…っ」

斎藤さんの言葉を否定する事が出来なかった。

子供みたいなものが怖いだなんて
言うのが恥ずかしいから嫌だったのに！

絶対に笑われる…。
もう、嫌だぁ…。

斎藤「行くぞ」

A「え？」

しかし笑われる事はなく、
それどころか斎藤さんは手を差し伸べてくれる。

これは掴まってもいいって事なのかな？
それはそれで恥ずかしいけど…。

斎藤「怖いのだろう？」

A「で、でも…」

ピチャン

A「ヒッ！」

斎藤「っ！？」

戸惑っている間に雫がまた垂れ、
それが頭に当たる。

差し伸べられた手を取るのではなく、
思わず斎藤さんの腕にしがみついてしまった。

ふ、不覚…っ！！

A「す、すみません！」

斎藤「大丈夫だ。行くぞ」

A「はい…」

一旦、斎藤さんの腕から離れ
今度は袂を握った。

これでもかという力で握った！

付けてしまった皺は後で伸ばしますから、
今は許してください！！

雫が堕ちる音で何回も驚いては
袂を引っ張るから、
着崩れると怒られてしまった。

怒られてしまっては放すしかない。

しかし放した所で
斎藤さんに手首を掴まれて引っ張られた。

斎藤「すまぬが、これで堪えてくれ」

A「いえ…。ありがとう、ございます」

手を握るではなく手首を掴むっていうのが
なんとも斎藤さんらしい。

掴まれた場所から伝わる体温。

あんなに怖かったはずなのに、
そちらに気が取られ過ぎて
暗闇が気にならなくなっていた。

急に手を放されて不思議に思い目線を上げれば、
そこには少し開けた部屋のような場所があった。

置いてある灯油(ともしあぶら)へ提灯の火を移せば、
その火で部屋の全貌が分かる程の狭さ。

その部屋の中には小さな棚と
文机が一つ置かれているだけだった。

小さな棚には綺麗に並べられた書物。
その中から除名録を見つけ捲った。

やっぱり、雪村綱道の名前はないな…。

その後、あの鬼殺しについて
書かれているだろう犯罪録も見つけ、
それもペラペラと捲る。