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昔話をしながら歩いていれば、
懐かしい建物が
視界の端に入ってくる。

そちらへ視線を向ければ、
私たちが住んでいた家なのだが、
その頃の面影は何処にもない。




A「ここが私たちの家でした」

斎藤「大きいな」

A「この村で
一番大きな家だったと思います。
この家には毎日のように訪問客がいて、
父様は大変そうでした」

斎藤「そうか…」




父様、母様…。
戻ってきました。
私は生きています…。


目線をずらすと雪村時實という本家筋に
一番近い分家の人が住んでいた建物たちが見える。

時實の家には蔵があったはずだが、
そこは他の残骸よりも大きく残っており、
どうにか隙間を縫えば中に入れそうだ。




A「この下のはずです」

斎藤「何とか入る事は出来そうだな」

A「行きましょう。
いつ崩れてもおかしくはありません」




そして私たちは残骸の隙間を縫って
中へと足を踏み入れた。

入り口である鉄の扉はかなり重く閉ざされていて、
斎藤さんがいなければ
開ける事は出来なかっただろう。

細い体だと思っていたけれど、
案外力があるんだな。


なんて、新しい発見をしてみたり。


扉を開ければ真っ暗な闇の中に
浮かび上がる階段。

持って来ていた提灯に火をともせば、
少し奥まで見る事が出来た。




斎藤「案外深いのだな」

A「わ、私も、入った事はないので…」

斎藤「……どうした?」

A「い、いえ…。
何でもないですよ…?」




実は暗闇がちょっと苦手。

いや、ちょっとではないな…。
かなり苦手!

こんな事、平助君に言えば
「鬼なのに?!」
とか言われて笑われてしまいそう…。

鬼でも苦手なものは苦手なの!
怖いものは怖いんだよ!

でもそんな事を言えるはずもなく…。
提灯を持っている斎藤さんは
階段を下りて行った。

そんな斎藤さんを追いかけるように
なるべく離れないように階段を下りていく。


ピチョン…。




A「ヒ……ッ!」

斎藤「……?」

A「お、お気になさらず…」




焼けた後に雨でも降れば、
野ざらしになっているため
水が入ってしまったのだろう。


雫が堕ちる音に驚きました。


なんて言えるわけないじゃない!

もう、何で隠し部屋を地下なんかにしたの?
一人で来てたら入れる自信なんてないよ…。


ああ、土方さん。
あなたの条件を飲んで良かったと、
今になって感謝します!

****→←26:鬼の村



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - き。気になります。 (2020年5月23日 9時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年8月31日 3時

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