２２：帰るか ページ1
あの目は何処へ行ったのか。
今、私を見ている目は
とても優しくて暖かい。
A「私が、怖くないんですか…？」
沖田「え？何で？」
A「私の事、気持ち悪くないんですか…？」
沖田「可愛いなとは思うけど、
気持ち悪いなんて思ったことないよ？」
A「だって、私は鬼、で…っ、
さっきだって…っ」
泣きたいわけじゃないのに勝手に涙が溢れだす。
沖田さんの優しい声に、優しい笑顔に…、
涙腺は崩壊していく。
沖田「AちゃんはAちゃんでしょ。
別に怖くないし気持ち悪くないよ」
A「でも、でも…っ」
沖田「屯所ではあんなに可愛いAちゃんが、
こんなに強いんだって興奮したぐらいだよ」
前言撤回。
涙腺は既に崩壊していたんだ。
とめどなく溢れる涙を止める術を知らない。
ギュッと抱きしめられる体。
それとは逆に優しく羽織の上から
頭に置かれている手。
全てが優しくて暖かい。
沖田「大丈夫。君は君だよ」
耳元で
それがより一層、安心感を込み上げさせた。
人前なのに声を上げた。
こんなに泣いたのは村が焼かれた時以来だ。
ひとしきり泣いて頭がスッキリしたのか、
今の状況が理解できて恥ずかしくなる。
沖田さんに、
しかも人前で抱き締められてるんですけど！
A「お、沖田さん。
もう大丈夫です。ありがとうございます」
沖田「えぇ？もうちょっといいじゃない」
A「いや、あの…っ、
すみません。でもっ」
顔が熱い。
絶対に今の私は顔が赤いよぉ…。
だけど、腰に回っていた沖田さんの
腕が急に離れた。
沖田「一君、何するの」
斎藤「Aが困っているだろう。話してやれ」
どうやら斎藤さんが引き剝がしてくれたようだ。
よ、良かった…。
あのままだったら
恥ずかしすぎて倒れちゃうよ…。
トン…。
背中に何かが当たる感触がして後ろを振り向いた。
そこには姉様を抱きかかえた土方さん。
土方「ご苦労だったな」
A「……ありがとう、ございます」
土方「んで？いつまでその姿のままなんだ？」
A「久しぶりに長い時間この姿だったので、
戻そうにも戻らなくて」
本当は屋根から飛び降りた時点で
戻せるなら戻したかったんだ。
でも、何故か戻らなくて…。
気を張りすぎてたのかな？
土方「ぷっ！あははっ！おま、おまえ、
ドジすぎんだろっ」
A「わ、笑わないでください！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - き。気になります。 (2020年5月23日 9時) (
レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まほろ | 作成日時：2019年8月31日 3時
