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15:記憶 ページ35

さて、私の中では
ここからが本番。

いつ姉様が切り出してくるだろうかと、
さっきからヒヤヒヤしている。




千鶴「A。鬼って、何なの…?
Aが頭領って何?」




来た…。
私の最大の悩みの種。




A「姉様…っ、あのね!」

土方「千鶴、今聞いた通りだ。Aは鬼で、
その双子の姉であるおまえも、鬼だ」




どうしても言いにくそうにしていた事を
悟った土方さんが、
私の代わりに切り出してくれた。

それは、土方さんの優しさだ。

こんな大事な事を自分の口から言わず、
何で人に言わせてしまったんだろう…。

自分の情けなさに泣きたくなった。




A「土方さん、ありがとうございます。
後は私が」

土方「……さっさと言って、楽になっちまえ」




ぶっきら棒な言い方とは正反対の
優しさが滲み出た言葉は、
何とも土方さんらしくて
私の心を穏やかにしてくれる。




A「姉様。今、土方さんが言った通り。
私たちは鬼。父様も母様も、純粋な鬼なの」

千鶴「わ、私は…っ、私には、そんな記憶はない!」

A「姉様が村を出る時に
鬼の記憶はこちらで消したの。
姉様に鬼である記憶も自覚も、ある訳がないんだよ」

千鶴「私は、人、ではないの…?」

A「人じゃない。鬼だよ…」

千鶴「どうして…、
どうして言ってくれなかったの?!
何で教えてくれなかったの?!」

A「姉様が!
姉様が今のままで幸せなら
そのままでいて欲しかったから!
あんな辛い記憶がないまま生きられるなら、
私はそっちの方がいいって思ったの!」




売り言葉に買い言葉。
ああ言えばこう言う。

完全に喧嘩だ。
見苦しい事、極まりない。




千鶴「私が鬼なんて…、人じゃないなんて!
私は、私は信じない!
Aが…っ、
Aなんて…っ」

土方「千鶴!てめえ、何言おうとしてやがる!
こいつの気持ちも考えてやれ!」




姉様が言いたい事が分かってしまった。

【Aが来なければ良かった】
【Aなんて現れなければ良かった】

そうだよね。
私が探さなければ、私が来なければ、
姉様は鬼だと知らずに
生きていけたかもしれないもん…。




原田「お前らの家には
人間に手を貸してはいけないっつう
掟があるらしい。
それでもAはお前がいるから、
守ってくれた恩があるからっつって
俺たちに手を貸してるんだ。分かってやれよ」

****→←****



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斎藤ようこちゃん(プロフ) - こちらこそです。 (2020年5月22日 17時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» 何度も読んで頂きありがとうございます!これからもよろしくお願いします☆ (2020年5月22日 8時) (レス) id: 186b1c0f08 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - コメントお願いします。嬉しいです。何度も読んでます。 (2020年5月21日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» こんにちは!レスが遅れてしまい、申し訳ありません。気に入っていただけたようで嬉しいです♪こちらは完結しておりますので、最後まで楽しんでいただけると嬉しいです!コメントありがとうございます☆ (2020年5月21日 21時) (レス) id: 186b1c0f08 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - はじめまして。素敵な作品です。気に入りました (2020年5月16日 21時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年8月27日 9時

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