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その後は
誰も口を開く事はなく、
とても静かな
散歩のような気がしてしまう。

だけど、久しぶりに屯所の外に出た私は、
それでも楽しかった。

しばらく歩くと土方さんの歩が止まる。
そして、一軒の小間物屋へと入って行った。


土方さんにしては
可愛らしいお店に入るんだな…。


その後に続いて、私もお店の中に入った。




土方「好きなもん選べ」

A「え?」

土方「お前たちには給金っつうのは
払ってねえからな。
ひと月に一度ぐらいは好きなもん買ってやる」




確かに私たち姉妹は、
新選組から給金など貰っていない。

いや、貰っていないんじゃなくて断ったんだ。

だって私たちは居候だし、恩返しだし。
そんな人たちにお金を貰うわけにはいかない。




A「本当にいいんですか?」

土方「いいって言ってんだろ」

A「ありがとうございます!」




土方さんから離れて店内を歩き回る。

こんなお店に来た事がないから知らなかったけど、
可愛い物がいっぱいだ!

雪村の村にいた時は、
人間が経営するお店には行かせてもらえなかった。
同じ東国に棲む鬼の一族たちの
お店しか連れて行ってもらえず、
ずっとこういうお店に行ってみたいと思ってた。

キョロキョロと一つ一つ見ていると、
その中の籠の前で立ち止まった。

綺麗な結い紐。
赤を基調としていて、
その所々に薄い紫の糸が組まれている。




土方「それがいいのか?」

A「いや、姉様に似合いそうだなって…」

土方「あのな、今日は千鶴に似合うもんを
見繕いに来たんじゃねえんだぞ」




それは分かってるんだけど、
姉様に似合うなって思っただけだもん。




A「すみません、もう少し見ます」




そう言って、また土方さんから離れた。
だけど、どの品物を見ても
姉様に似合う物しか目に入らない。


私、姉様の事を好きすぎじゃない?


自分の行動に思わず苦笑いをしてしまった。

店の中を行ったり来たりしながら見ていたのだが、
突然土方さんに腕を掴まれて捕まえられた。
その掴まれた手の中に入れられたのは、
二本の結い紐だ。

さっき私が手に取った結い紐と、
対のような青を基調とした糸に
薄い紫の糸が組み込まれた、
これも綺麗な結い紐。




土方「仕方ねえな。千鶴にも買ってやるか」




ほ、本当ですか?!
もう、土方さんは優しすぎます!




A「ありがとうございます!」




あまりにも嬉しくて満面の笑みを向ければ、
土方さんは満足そうな顔をした。

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斎藤ようこちゃん(プロフ) - こちらこそです。 (2020年5月22日 17時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» 何度も読んで頂きありがとうございます!これからもよろしくお願いします☆ (2020年5月22日 8時) (レス) id: 186b1c0f08 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - コメントお願いします。嬉しいです。何度も読んでます。 (2020年5月21日 22時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» こんにちは!レスが遅れてしまい、申し訳ありません。気に入っていただけたようで嬉しいです♪こちらは完結しておりますので、最後まで楽しんでいただけると嬉しいです!コメントありがとうございます☆ (2020年5月21日 21時) (レス) id: 186b1c0f08 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - はじめまして。素敵な作品です。気に入りました (2020年5月16日 21時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほろ | 作成日時:2019年8月27日 9時

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