純血の日本人 Ⅲ【HP】 (ページ24)

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急に頬に暖かい感触を感じ、目を開けるとネロが舐めてきた。

『ちょっ、ネロ……舐め、すぎっ』

犬は好きだしいいんだけど、こうも顔中舐められると息が苦しくなる。

【俺ならAのこと守ってやれる】

『あら、嬉しいわね？』

冗談混じりに笑ってあげると私の周りをグルグルと周りはじめた。

『そうやって悪いものが近づかないようにしてくれるの？』

【悪いか？】

『ふふっ、ううん、可愛い。
でもネロが傍にいてくれるだけで嬉しいよ』

友達になってから気づいたことだが、ネロはすごく考え方が人間じみている。
他の魔法生物とはどこか違うような感じがする。
大方、前に買われていた人に感化されたのだろうけど。

『ね、ネロ！私が卒業したらあなたのこと飼ってあげようか？
森の中じゃなくて、家の中で！美味しいご飯も用意するわよ？
それに私、こう見えても実は成人してるの！
大和家の当主だからお金もあるし融通もきくわ！』

【ふむ、そうだな…卒業するときにAが覚えてたら考えてやらんことも、ない】

『じゃあ決定ね！私、絶対忘れないから』

湖から出て裸足のままネロと一緒に寝転がる。
このままここで生活できれば……。

昔、魔法処の先生に言われたことを思い出していた。

"現実と真実、1人と孤独は違うのよ"

先生、違いましたよ？
現実は幻で、真実が現実だったんです。
1人でいることが孤独がつくりました。

ただ、あの先生のことはすごく好きだった。
知りたいことはなんでも教えてくれたし、私を育ててくれたと言っても過言ではない。

卒業したら会いに行ってみようかな。

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