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「あ…いえ
お、美味しいから…です、パン…」
そうだった
小麦粉好き発言してたっけ、ジョングーくん
「ありがとう 笑
じゃ、また後でね!」
照れたように小さく手を上げて
ペダルを踏み込む背中を見送る
さあ、今日もがんばろ
*
「ジェボム、今のうち休憩入って来て」
「ありがとうございます」
空になった天板を片付けた
ジェボムが裏に消えて
BGMがゆっくりとした曲調に変わる
次の焼き上がりまでもう少しかかるし
窓の外に目をやると
小さな鳥たちが店先に舞い降りるのが見えた
ちょうどお客さんも途切れたし
サンドイッチを作った時に出た、
パンの耳を小さくして外に出る
店の軒先より少し外れて
ガラスの前でパンを撒くようにすると
チ、チ、と小さな声をあげて
小鳥たちがやって来る
…かわいいな
暫くそのまま
小さな鳥たちがパンを啄むのを眺める
と、大きな黒い車が通りにに入って来て
小鳥たちが舞い上がるように飛び立つ
あーあ、
行っちゃった…
車はそのままこちらにやって来ると
まだその場に立ち尽くしたままの私の前に
滑るようにして停まった
後ろのドアが開いて
磨きあげられた茶色い革靴が見えて
長身の男性が私の視界に入る
ちょっと怖い感じの人だ…
外から店の中の確認をしている風を装って
シラーっと店の中に戻ろ…
「あの、」
ビクッ
「すいません、餌やりの邪魔をしました」
振り返れば男性は決まり悪そうな表情で
鼻の横を掻いている
「こちらのパンが美味しいと聞いたもので…」
なんと、お客様!
「ありがとうございます、どうぞ中へ」
そう言って手で促すと
思いがけなく笑顔になった
あ…
えくぼ
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しむちゃん - ムフフ、ほこほこしますね(^^)頑張ってください楽しみにしてます! (2017年10月15日 0時) (レス) id: 5cbc995f62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mac | 作成日時:2016年2月16日 21時