Queue de Lapin (ページ15)

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午後は雨になった

地面を叩く水滴は時間が経つにつれて
大きく強くなった

客足はとてもまばらで
ジェボムには早めに上がってもらった

土砂降りじゃ、
みんなまっすぐ家に帰るだろう

現に店の前を通る傘は
立ち止まることなく過ぎてく

レジ台のカウンターで
ノートパソコンを開いて

明日の天気予報を確認する

明日は曇りか

天気によって生地の仕込みも左右されるから
毎日欠かさずチェックするんだけど

ちょっとこの雨は…強すぎるよ

入口のドアの上に出したオーニングに
当たる雨音はいつまでも弱くならない

こりゃ、閉店時間早めるしか…

並んだパンたちに目をやって
ため息をつく

ごめんね、廃棄になっちゃうかも

トレーとトングをセットして
物音がした様な気がして振り向いた

と、入口のドアに影が映り込む

影はそのままそこにいるのに
中に入る様子はなくて

？

ドアは外側に開くから
ぶつけたりしない様にそっと

カラ…ン

ドアについたベルが鳴って
外にいる誰かが

『ぅわあっ！』

声をあげた

「あ…ごめんなさい

驚かしちゃっ…て、って

ジョングーくん！？

ちょっとずぶ濡れじゃない

とりあえず中、中に入って！」

『っあ…あの、いや

濡れちゃうんでいいです、大丈夫ですから』

いいわけあるか！
受験生なんだから風邪引いたりしたら大変！

「じゃ、こうしよう！来て！」

『え？あ、うわっ？』

腕を掴んで強引に店の裏の階段を上がる

ドアを開けて洗面所からバスタオルを取って

突っ立ったまんまのジョングーくんの頭に被せた

「ちゃんと拭いて

シャワー貸したげるからあったまって！

あと、制服！
脱いだら洗濯機に入れといて

着替え、ウチのパパのじゃ嫌よね？
店の制服しかないけどいい？」

『えっ、あっ、はい…』

まくしたてる様な私にビビったのか

微動だにせずに目をまんまるくさせて

玄関に立ち尽くす

「ほら、早く早く！」

ジョングーくんを無理やり
バスルームに押しやると店に戻った

店の制服を手にもう一度

自宅に戻ってバスルームの前に置いた

中からはシャワーの水音がするから大丈夫だろう

ふたたび店に戻ると電話が鳴っていた

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