死神少女と死にたがり【文スト】

ヨコハマギャングスタアパラダヰス -14- ページ34

「異能力────『死の淵より』」




途端、先刻まで向かってきていた黒獣が砂の様に消え去った。

「!!」

「な、何が…!?」

「身に付けた衣服を自在に操る異能、だったか？」

「……何をした」

「私の異能力は────

私が触れた凡ゆる物の寿命を奪う事が出来る」

Aは両の手袋を外す。

手袋はトサ……と地面に落ちた。

「貴様だったか。何処に消えたかと思えば」

「……」

「その異能力を視るのも久しいな。

“死神”────」

『死神』の単語が発せられた瞬間、Aは目を見開き歯を食いしばる。

「ッ!!私を……其の名で呼ぶな！」

「(“死神”……？)」

Aには芥川と何か因縁があるのか、と敦が考えた時

「────中島」

名前を呼ばれ、顔を上げる。

「谷崎とナオミを連れて探偵社まで戻れるか」

「え……でも、Aさんは……！」

「戻れなくても構わない。此処に残るのなら離れていろ。

決して私に触るな。近寄る事もするな。

然もなくば

────死ぬぞ」

「……え…？」

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