17.純粋な嬉しさ。 ページ18
僕が作ったって事を知った兄さん達はカラ松兄さん以外は黙りこんでしまった。
別に、食べたくないなら食べなくて良いのに。無理に食べなくて良いんだよ、兄さんって。いつもなら言えるのに。
今日は、自分と十四松兄さんが力あわせて作ったから、どうしても食べて欲しかった。
僕は意を決して、ぎゅっとパーカーの裾を握りしめながらうつ向きながら呟いた。
「あ、のさ。食べたくないなら食べなくて、良いんだよ…でもね、今日のは十四松兄さんも一緒に作ったんだ。
…十四松兄さん、一生懸命お手伝いしてくれて、頑張ってくれたんだ。卵を割ってくれたり、ご飯にケチャップ入れてくれたり、してくれた…
………だから、その…」
お願いだから、食べないなんて言わないで。
その一言が言えなくてぱくぱく、と口が開閉しただけで言葉は出なかった。
やっぱり、肝心の本心は言えない。よい子を演じて、嘘ならつらつらと吐きだせるのに。
僕がうつ向いていたときに、どさっと物音が聞こえた。
驚いて目の前を向くと、いつもの定位置に座り胡座をかくおそ松兄さんがいた。
「あーもうほら飯冷めるからお前ら食おうぜ。お兄ちゃん面倒事きらーい!」
そう言ってぱんっと手を合わせていただきまーす!と言ってオムライスを食べ始めた。
それを見た他の兄さん達は心底驚いた顔をしつつも、あとに続いて座りいただきますと呟き、オムライスを口に頬張った。
次々と聞こえる美味しいの声、そしてなによりも僕を最も毛嫌いしていた兄さんが、本心を言えずに立ち尽くし、困っていた僕を助けてくれた。
思い違いかもしれない、僕を助けたんじゃなくて純粋にお腹が減ってたとか、そういう理由かもしれない。
だけど、そうだとしても。僕は純粋に嬉しかった。
その日の晩ごはんはいつも以上に美味しく感じた。
＊＊＊＊＊
順位いただきました、ありがとうございます…
261位でした、まさか松小説で順位いただけるとは思っていませんでした…
本当にありがとうございます。
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桜の枝の先っぽ(プロフ) - 木音樹音 @ついったさん» マサキって名前だから覗いてみたけどやはりマサキちゃかbyけまり (2016年9月16日 20時) (
レス) id: 6f39c844bc (このIDを非表示/違反報告)
木音樹音 @ついった(プロフ) - しずな松さん» はじめまして…!コメントありがとうございます。感想もありがとうございました、とても励みになります…!更新頑張らせて頂きます。 (2016年6月6日 12時) (レス) id: 3e35395088 (このIDを非表示/違反報告)
しずな松(プロフ) - はじめまして！今日読んで凄く面白かったです(´ｰ｀)更新楽しみにしてマッスル！！ (2016年6月6日 10時) (レス) id: ef353571b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マサキ | 作成日時：2016年6月1日 17時
