過去(アン視点) ページ11
わたくしの名はアン。
ローゼマリーお嬢様に仕える侍女の一人です。
わたくしは、捨て子だったのだと思います。
物心ついた頃には親はいなく、同じような境遇の子供たちと共に暮らしておりました。
あの頃は、今では考えられないようなことも、生きるためなら、何でもやりました。たとえそれが、盗みや殺人のような、犯罪であっても。
七歳くらいだったでしょうか。
わたくしが暗殺者となったのは。
他の子供たちよりも動きが素早かったわたくしは、ある時『暗殺ギルド』のギルド長を名乗る男から、暗殺者にならないかと誘われたのです。
わたくしには才能がある、うまくいけば今のような生活を終わらせられると言われたのです。
わたくしは、その話を受けました。
どんなに頑張っても、所詮は孤児。
良い暮らしなど、どんなに頑張って働こうができるはずもなかったわたくしは、暮らしが楽になるのなら、そう思っていたのです。
数年後、男の言葉は現実になりました。
わたくしの名は、裏の世界では知らぬ者はいないであろうほど有名になったのです。
ある時、そんなわたくしのもとに、とある貴族の使いを名乗る男がやってきました。
依頼内容は、『まだ幼いリリアム公爵令嬢の暗殺』でした。
その頃のわたくしとリリアム公爵家は、縁もゆかりも無かったわたくしは、その依頼を受け、偶然にも使用人を募集していたリリアム家にメイドとして潜入しました。運よく令嬢付きメイドとなれたわたくしは、数日間経ったのち、夜中に使用人部屋をそっと抜け出して令嬢の寝室へ忍び込みました。
すやすやと眠る令嬢へ音もなく近づき、仕事道具のナイフを令嬢の胸へと突き刺そうとしたその瞬間_____
ナイフを持つ手を掴まれ、一秒も経たないうちに部屋の灯りが点きました。わたくしの目の前には、リリアム公爵ご本人がいらしゃいました。。
公曰く、わたくしが暗殺者だということは、最初から分かっていたそうです。
身のこなしや気配などが、一般人とは違っていたそうです。
公爵様には昔、そういったことにやけに詳しい友人がいらしゃって、そのおかげでわたくしが暗殺者だということに気が付けたのだとか。
夫妻の一人娘である令嬢を、未遂とはいえ暗殺しようとしたわたくしは、死を覚悟いたしました。
しかし、公爵夫妻はわたくしに、令嬢の侍女になってほしいとおっしゃったのです。
任務に失敗したわたくしには、もう帰る場所などなく、その話にとびついて、今、ここで暮らしているのです。
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Lily - 夜籠目さん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて嬉し涙がちょちょぎれちゃいます。この小説がなろう系なのは、私が現在進行系でなろうにたむろっているからです。 (2016年5月25日 14時) (レス) id: e862ef2837 (このIDを非表示/違反報告)
夜籠目(プロフ) - 占ツクよりは、なろう系にありそう。 (2016年5月24日 21時) (レス) id: 3bd8e99442 (このIDを非表示/違反報告)
Lyly - ぷよ傘さん» コメントありがとうございます。楽しんで頂けて幸いです。更新を頑張るので、これからもどうぞ宜しくお願い致します。 (2016年5月21日 14時) (レス) id: ad4da21ebf (このIDを非表示/違反報告)
ぷよ傘(プロフ) - 私は今まで転生系の小説をあまり読んだことがなかったのですがとても面白いですね!主人公の心理描写などが非常にしっかりとしていて感情移入がしやすく楽しませていただきました。これからも更新頑張ってください。 (2016年5月20日 22時) (レス) id: 61adbf0e08 (このIDを非表示/違反報告)
Lyly - 風華@露領さん» 作品を見ていただけて、とても嬉しいです。ありがとうございます。面白いと思って頂けるよう、これからも頑張りますので、どうぞ宜しくお願い致します。 (2016年5月16日 19時) (レス) id: ad4da21ebf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lily x他1人 | 作成日時:2016年5月3日 15時