彼と私と心の隙間

40 ページ40

『ユウくんが風邪で動けないって連絡来て
薬を買ってきて欲しいって言われたの
さすがに病気の友達が困ってるの断れなくて
約束破っちゃったけどマンションに行ったの
でも薬と食料届けて帰ろうとしたら告白されて………』



「それで？」



『断ったけど…………玄関先で捕まって
キスされてでも口じゃなくて、口の横で』



「キスの位置なんてどうでも良いんだよ！！」



ミツさんは初めて声を荒らげた



「キスした事にはかわりないじゃん」



『ごめんなさい』



「本当に病気だったの？嘘なんじゃないの？
なんで俺にひと言相談しないの？
沙織ちゃんと一緒に行くとかできなかったの？」



『沙織はいなくて…………
ミツさんに言ったらダメって言われそうで
でもユウくんはほっとけなくて』



「黙って行くって後ろめたいことがあるからじゃん
病気の友達に薬渡しに行くだけなら
俺に連絡して堂々と行けよ
それに家の中に入る必要だってないし
玄関先で薬渡したりドアノブに
かけとくだけでいいじゃん
そもそも俺の家に来る約束があるのに」



『……………』



ミツさんが正論すぎて何も言えない



「俺、言ったよね？アイツはAに
気があるって。気をつけろって」



『…………うん』



「いきなり薮から電話架かってきて
Aが他の男とキスしてるとこ見たって
実は前も手を繋いでマンションに入るの見たって
急にそんなこと言われた俺の気持ちわかる？」



『ごめんなさい』



「さすがに薮の言うことでも信じられなかった
でも証拠動画まで送られてきた
咄嗟の撮影だから見ずらかったけど
間違いなくアイツとAだった
悪いけど浮気してるようにしか見えない」



何も言えない私



「今、誰の話を信じて良いかわかんない」



『私、嘘なんかついてない』



「そうかもしれないけど今は信じられない」



『もうミツさんを裏切るような事も
心配するような事はしないから』



ミツさんはしばらく無言だったけど



次に発した言葉は私が聞きたくない言葉だった



「今後の事………考えたい」



『えっ………？今後の事って………？』



「とりあえず今日は帰って」

作者より→←39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す