雨と私と捨て猫と

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「『いただきます』」



テーブルにはコロッケとサラダとお味噌汁



そしておばあさんの自家製のお漬け物と
きんぴらごぼう



きんぴらごぼうはおばあさんに
教えてもらって私が作った



サクサクのコロッケをひと口食べる



『美味しー』



婆「みんなで食べると美味しいねぇ」



ミツ「悪かったな。いつもは俺と二人で」



婆「ミツは文句も言わないが美味しいとも
言わないからねぇ」



ミツ「文句言わないって事は美味いって事だろ」



『違いますよ。作った人は美味しいって
言って欲しいんです！それでまた
美味しいもの作りたいって思うんですよ』



ミツ「……………。」



ミツさんは女って面倒くせぇなとでも
言いたそうな顔で黙々とご飯を食べていた



そして私が作ったきんぴらごぼうを食べた



表情は変わらない



その表情だと美味しいのか不味いのか
わかんないよぉ



私はじっとミツさんの顔を見た



ミツ「…………なに？」



婆「そのきんぴらごぼうはAちゃんが
作ったんだよ」



ミツ「へぇー」



そう言いながらぱくぱくと食べている



婆「ミツ。へぇーじゃわかんないんだよ」



ミツ「は？」



婆「だからへぇーじゃわかんないんだよ」



おばあさんはあえて同じ事を言って
ミツさんをじっと見た



私とおばあさんの視線の意味に
すぐに気付いたミツさんは



チラッと私を見て



ミツ「すごく………美味いよ」



そう言って照れたように
またきんぴらごぼうを頬張った

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