最後の恋だと思ってた

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『えっ…………』


「僕の場合はマリッジブルーで
婚約破棄されたんですけどね」


北山くんはゆっくり話し始めた


「2年付き合って僕が29歳彼女が24歳
の時、プロポーズしたら喜んでくれて
式場も決めたんですけど………
彼女が急に結婚するのが怖いって
言い出して……」


『………』


「実家暮らししかしたことない子で
料理ができないとか家事全般が不安
とか仲良しの友達が誰も結婚してない
とかやっぱり自分には結婚が早いとか
途中から理由もよくわかんなくなって
俺が悪いなら直す努力するけど
やっぱり結婚は怖いって言われたら
どうにも出来なくて………」


理由は違うけど北山くんにも
婚約破棄という心の傷があることに
びっくりした


「両家で相談して結婚は延期って
事になったんだけど結局そのあと
ギクシャクしてうまくいかなくて
別れました」


『そうだったんですね………』


「だから少しは渡辺さんの気持ち
わかるんです」


『さっきはごめんなさい』


「いえ、いきなり気持ちわかるなんて
言われたら誰だって怒りますよね
僕が悪いんで気にしないで下さい」


『もう………吹っ切れましたか？』


「はい。時間はかかりましたけどね
結構辛くてもう恋愛はこりごりとか
女なんてめんどくさいなんて
思ってたけど………」


『けど………？』


「今、好きな人が出来てやっぱり
恋愛したいなって思えるように
なりました。
だから時間はかかるけど渡辺さんも
必ず次の恋ができますよ」


『自信ないな………こんな私の事
好きになってくれる人なんかいないよ』


「いますよここに」


『えっ？』


その時、ちょうど赤信号で車が止まった


北山くんはゆっくり私を見つめて









「僕は渡辺さんが好きです」

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