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12月に入り、今日は一段と寒さが身に染みる。
｢寒いからって、いつまでも寝てないで起きな！｣
布団から出れずにいるオレに、
部屋の外からドアを叩き、叫ぶA。
朝からうるさいヤツ。
口の悪いのを注意しねぇとな。
どうにか布団から抜け出し、リビングにのそのそと向かうと、
暖かい部屋に、湯気のたつクッパ。
出来るオンナだな。
｢８時には迎えに来るって言ってなかった？
ヤバいよ、時間！
ジジイみたいにゆっくりしないで、急いで急いで！｣
母親かよ…
｢今日は、めちゃんこ寒くなるから、1枚多く着て出ろって、
天気予報のねぇさんが言ってた｣
｢天気予報のお姉さんは、そんな口悪くないです｣
｢はい、すみませんねぇ、ほら、電話デス…
迎えが来ましたわよ。｣
急かされて、ブーツを履いていると、ちょっと待って！って。
｢マフラー、忘れてる！｣
しゃがんでブーツを履くオレの首にクルクルとマフラーを巻いてくる。
｢殺す気か！｣
首締まるわ。
外は寒かった。
寒さから逃れるように急いで迎えの車に乗り込む。
でもさ……
寒い朝なのに、なんだか心がポカポカしている。
クルクル巻かれたマフラーが暖かくしてくれてんのかな……
さっきのAを思い出す…温かい飯に、小言。
嫁かよ。
ニヤける顔をグルグルのマフラーで隠す朝。
今日は昼になっても気温が上がることもなかった。
｢今日、初雪になんじゃないかな｣
ナムジュンの言葉にAを思い出す。
イベントや特別な事に一切関わってこなかったアイツ。
今は、暖かいあのオレの家で過ごしてるかな。
買い物は配達にしてもらうように言おうかな。
いやいや……
別に恋人でもないのに、なんでアイツを思い出してんだよ、オレは。
夕方、ひと息つくために、コーヒーを飲んでいるとジンヒョンが騒ぐ。
｢あ！雪だ！雪が降ってきた！
初雪だね、ユンギや。
ヒョンは今年もお前とこうして過ごせて嬉しいよ。｣
｢オレ……キリもいいし、今日はもう退勤しよかな｣
｢は？雪のように冷たい弟だな、お前は。
でも、いいよ。弟よ、男らしくいけ！
ヒョンはそんなお前が大好きだよ、頑張ってこい！｣
何の話ををしているのか分からないけど、ま、帰っていいってことだな。
｢お先に！｣
そうと決まったら、すぐ出発だ。
マネージャーも待たずに、タクシーで家まで向かう。
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作者名：みんと
| 作成日時：2022年9月9日 17時
