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ユンギさんは最近、忙しいようで、家に帰るのも遅いから、
家でご飯も食べない。
昨夜も深夜に帰ってきて、そのまま、すぐに部屋に閉じこもっている。
時折、あーーー、とか、うーーーん、なんだよとか、
ひとりごとが漏れてくる。
ご飯を準備しているが、食べる様子も食べている様子もない。
私も、家政婦として、どうすればいいのか分からないけど、
ご飯と言われた時にすぐに出せるように、
また、作業がスムーズに進むように、快適なスペースづくりをし、
リビングで本を読んだりしながら、静かに待機する日々。
｢そうだな、とりあえず、会社行くわ。
じゃ、30分後に迎え頼む｣
聴こえてきた誰かと電話する声。
｢あの……ご飯食べていかない？｣
恐る恐る聞きに行く。
｢いや、いらね。｣
｢もう、15時間以上食べてないんじゃない？
食べないと倒れるよ｣
｢そんな食ってね？でも、もう出るからいいわ｣
作業しだしたら、食べるのも忘れると言っていたのは
本当みたいだ。
ユンギさんがシャワーする間に、作業の合間に食べてくれたらと思って作っておいたキムパをタッパに詰めた。
ユンギさんの電話に着信。
迎えが来たようだ。
玄関に向かうユンギさんを追いかける。
｢キムパとスープ詰めたから、車の中でも食べて。
倒れたら仕事出来ないよ！｣
｢ん。｣
｢いってらっしゃい｣
サンダルをサッと履き、ドアを開けて出ていった。
……私の存在は必要なのかな。
忙しいと余計に構って欲しくないだろうし、
私もユンギさんに、邪魔にならないようにしている。
でもさ、
ぶっちゃけ、ユンギさん、本当は、一人になりたいだろうな……
あの時、出会ってなければ、今もひとりでこの家で、のびのびと暮らしていたと思う。
なんだか、申し訳なくなってくる……
玄関で、ユンギさんの出ていった扉をボーッと眺めていたら、
ピーーーーって、電子音がし、ドアが開いた。
｢なんだよ、まだここにいた？｣
｢どうしたの？｣
ユンギさんの問いには答えず、こちらが問う。
｢あぁ……
この弁当のお礼、言ってなかったなと思って……｣
｢ん？｣
その為に戻ってきた？
｢さんきゅ｣
そう言って、笑ってくれた。
久しぶりに合った目と笑顔に、胸がギューっとなった。
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作者名：みんと
| 作成日時：2022年9月9日 17時
