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｢フフっ…そうやっていい事言ってくれるお前が死なずにいてくれてよかったよ｣
優しい顔するんだな…見とれていると、頭をまたコツンとやられる。
｢ってか、さっきから、ユンギユンギってなんだよ！｣
｢アンタのファンたちだって、そう呼ぶじゃん。
それにアンタだって、ニコニコ応えてんじゃん｣
｢アンタってなんだよ、この小娘が！
オレのファンがオレを呼び捨てにすんのと、ファンでもねぇお前が呼び捨てすんのとは違うだろ｣
ファン……私もすっかりファンになっただなんて言いにくいな。
｢ユンギさん！｣
そう言うと、急に黙り込む。ちがった？
「あ、それとも、ボス？社長？あ〜ご主人様？｣
｢あーもう、好きなように呼びな｣
なんだ、もしかして、照れてんのか。
かわいいご主人だわ。
｢じゃ、ユンちゃん♡｣
｢ガキはもう寝ろ｣
そう言って、クッションを投げられた。
次の日は、｢家で飯食うから｣というカトクも来たので、
ネットサーフィンする事もなく、真面目にお風呂も沸かし、ご飯も作って待つ。
余った時間で、ユンギから許可も出たし、ピアノを弾く。
こんな感じだったよな…なんて、大好きなメロディに酔っていると、いつの間にかユンギが、壁にもたれて立っていた。
｢やだユンギ！帰ってたなら、声かけなよ｣
｢呼び捨て！｣
｢あ、ユンギさん……｣
｢今の曲、覚えた？｣
｢うん、昨日聴いたやつ。so far away ｣
｢耳コピか…さすが、絶対音感の持ち主だわ｣
｢これもユンギ…さんが、作ったんでしょ。
すんごい歌詞も、胸に響いた。
死ぬことが出来ないで生きてる……
夢があったなら……｣
こんな自分でも生きてていいんだなって思わされる歌。
歌って…音楽って、そんな力があるんだね。
あ、そうだっ、コレ出来たから聴いてみって、ユンギさんがスマホを操作し、メロディを流す。
こないだの曲だ！
歌も入り、編曲もされて、すっかりひとつの歌になっている。
すごいな…
｢お前の鼻歌からも少しヒントをもらって完成したわ。
今の覚えたろ？いっぺん、弾いてみ｣
めちゃくちゃ言うね、この人…こんなかんじかなって、弾いてみる。
｢OK、さすがだ｣
頭を撫でてくれるのが、心地よい。
あ、でも、お腹すいてないかな？
｢ユンギ、ごはんは？
あ、ちがう、ユンちゃん、ごはんは？｣
｢ㅋㅋㅋ 一緒に食おう｣
甘い雇い主。
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作者名：みんと
| 作成日時：2022年9月9日 17時
