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「部長!

私と部長は、もう上司と部下です

もう、昔話はやめましょう

私、昔のことは思い出したくないです」




「部長ね……」



フッと笑う



「オレは、こんなもんの為に……」




どういう意味?




もうヤダ、こんな話



「部長、すみませんが、私、明日は地方で朝早いので、失礼いたします」





ユンギさんのそばから離れ、明日持っていくものを準備する







すると、ユンギさんがまた近づいてきて



「もう遅いから、家まで送る…オレ、車だから

あ、コレは上司として、心配だから

昔話はもう、しねぇよ」




「いえ、大丈夫です!いつも大丈夫ですから」


「は?いつもこんな遅い時間に出歩くのか?

気をつけろ

上司命令だ、送るから、来い」






威圧感を出すから、
素直に「はい、お願いします」ってつい……







ユンギさんの何年か振りの助手席




車内は、ユンギさんの香りがたっぷりで、

数年前にも、聴いていたような音楽が流れていて

余裕あるハンドルさばきも

赤信号に静かに止まってくれる心地よいブレーキも

運転しながら、時折自分の唇を触る癖も変わってなくて





もう、この席は私の席じゃないのに

何年か前に戻った感覚になる





信号待ちで停まった交差点



街灯が明るくて、飾り気のない車内のダッシュボードに

ただひとつ置かれてある黒いネコのキーホルダーが見えた




かわいいとは言えない生意気な表情の黒い猫




弘大(ホンデ)の街に
ユンギさんの好きなラップを2人で聞きに行った帰りに、露店で私が見つけたもの



「このネコ、ユンギさんじゃん!」


「こんなブサイクじゃねぇし」


「ほら!その生意気な表情がユンギさんなの!

おばさん、コレ、ください」


「どうせ買うなら、こっちの可愛らしいのにしな」


「だめ!このユンギさんに似てるネコちゃんじゃないとイヤだ」


「だから、似てねぇって」





その時の笑い合ってた2人がフラッシュバックする




あの時から車は変わったのに
ちゃんとまだユンギさんの車にいた





「昔話……したくなるから…もう、ほんと、泣くな、ごめん」






自分でも全く気づかないうちに、そのネコを、見つめながら、

涙が頬を伝っていたらしい

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作者名:みんと | 作成日時:2024年3月23日 8時

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