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「A……」



私の背中に向かって名前を呼ぶ


この声で名前を呼ばれると、反射的に体が止まるんだ





お願い……何も言わないで





「A、本当にあの時は…ごめん…」






あぁ……ユンギさんの謝罪の言葉なんて聞きたくない




ごめん、なんて言われて、どうするの?




大好きだったんだよ、私




ユンギさんが転勤の準備をしている時も

捨てられるなんて1ミリも思わず

毎日大好き大好きって、ユンギさんの腕の中で笑っていた




なんて、脳天気な馬鹿な女だったんだろう






そして、また、

ユンギさんと同じ空間にいて

私の大好きなユンギさんの声で

名前を呼んでもらっただけで、すごく嬉しい気持ちになり、胸をときめかせているなんて……




今だに、私は馬鹿な女





でも、いつまでも、こんな馬鹿な女でいちゃダメなんだ





学習しなきゃ!


あの時の悲しみを思い出せ


もし仮に、ユンギさんと付き合えるようなことになったとしても


私は、またいつか捨てられるかもしれないって

いつもいつも頭の片隅にその事が頭から離れられず

ユンギさんに心から笑える日は来ないだろう





それに、ユンギさんには、新しい彼女もいる



ユンギさんは、新しい恋を始めているんだ

こないだ、笑いあいながら、歩いているのを見たじゃん




もう苦しむのはイヤだ





忘れてやる!

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作者名:みんと | 作成日時:2024年3月23日 8時

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