私立平成男子高校 Ⅲ (ページ9)

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#102. ページ9

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『焼きそばいかがですかー？』

慧「安くしますよお」

お手伝い、2日目。

仕事の振り分けをくじ引きで決め、

俺は慧先輩と客寄せをしていた。

ここ海の家『さざなみ』は、

さざなみ旅館が請負ってるお店。

涼介「お前ら、もっと頑張れよ」

光「あー！伊野ちゃんつまみ食いするな！」

慧「だってお腹減ったんだもん」

まあ、料理ばかりは実力なので

昨日に引き続き、料理担当は山田と八乙女先輩だ。

この３人は傍から見ると顔が整っており、

「あの人たち、イケメン過ぎない？」

「垂れ目の人、かわいい～！」

「いや、あの背高い人どタイプだわ」

「あの茶髪の人カッコいい…」

自然にお客さんが寄ってくる。

……………。

俺、この場にいる必要ある？？

客呼びする必要、どこ？

「あ、あの…っ、」

『？、はい…？』

「焼きそば買うので、

あの人の連絡先教えてください…っ！」

あの人、と指す先には

一生懸命焼きそばを作ってる山田がいた。

『あー、ごめん。

きっと山田も嬉しいだろうけど、そういうのは俺の口からは教えられなくて。

多分、直接伝えた方が喜ぶと思うよ』

「そ、ですか…。ありがとうございますっ！」

遠回しに断りを入れると、彼女はどこかへ走って行ってしまった。

はあ、これで１１回目。

あの３人の連絡先や名前を聞いてきた回数。

ったく、そういうのは本人に聞けっての。

『モテすぎてうざい』

慧「あ、Aー。

かき氷食べよ、かき氷」

『慧先輩もっと働いてくださいよー！』

光「そうだぞ。働かざる者食うべからず！」

慧「ええ、いいじゃん。売れてるんだし」

『うう…』

実際、そこに3人が立ってるだけでも、

相当な収益にはなるが。悔しい。

慧「はいはい、あーん」

『……、美味しい…』

さっき山田が焼いていたイカ焼きを消化する。

食べ物に罪はない。素直に美味しい。

涼介「ちょ、伊野ちゃん、まじで食べ過ぎ。

そろそろ控えて。売り物なくなるから」

慧「そのときは値上げすればいいじゃん。

それでも美味しいから売れるよ絶対」

光「あのなあ…」

こういうとこ。

慧先輩、頭いいからすぐ閃くの。

実際理にかなってることも多々ある。ムカつく。

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