愛されたいなんて (ページ11)

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side 八乙女

目が覚めると、見知らぬ天井が見えた。

薮「お、光。起きた？……あの後機材トラブルで結局延期になったらしいから、連れて帰ってきちゃった。」

八乙女「ん、………ありがと、やぶ。」

そこからは二人とも無言で、正しく時を刻んでいる時計のチクタクという音だけが聞こえた。

その静寂を切り裂いたのは薮で、

薮「……………好きだよ。光。大好きだ。」

八乙女「ふふ、どしたの突然。…俺も、俺も好きだよ。」

薄々気付いてはいた。薮も俺の事を特別な目で見てること。同じ想いを抱いていること。

薮「俺たち、両想いだな…………ねえ、光。愛し、八乙女「やめてっ…………俺もそう、俺もそうだよ。だけど、その続きは言わないで……薮の未来を奪いたくない…」

薮「俺は！……………光と歩めない未来の方が辛い。ずっと隣で、支えて欲しいんだ…」

八乙女「もし世間にばれたら…？それに、俺たちで引っ張ってくって、決めたじゃん…」

薮「世間なんか、言わせておけばいい。…それにあいつらも、俺たちの気持ちには気付いてるよ……もうあいつらには手本なんか必要ない。」

そっか。もう俺たちが引っ張っていかなくたって、歩いて行けるぐらい、みんな成長してたんだよな。

八乙女「そう、だね……っ…ぅ、おれっ、やぶに恋してっ……よかっ、たっ…」

次に流れたのは、安心と嬉しさの涙。

やっぱり、意味のない恋なんかじゃなかったみたい。

薮「愛してるよ。光。」

Fin.