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AKITO SIDE




____




一緒に住みたいと言うと、男は待ってましたとでも言うように口角が微かに上がった。


だって、俺には心配する材料が無い。


例えこいつに最初から騙されていたって、食べるものがなくて飢死するよりましだ。





『じゃあこれから車呼ぶから待っててな。』



「ん。」



適当に返事はしてみたが、自分の頭の中でもう一度男の放った一言を蘇らせる。



…こいつ車を呼ぶ言うたよな!?


いや、まて。それって超大富豪とかが言うもんちゃうの?



そう思い男の身なりを確認してみると、高そうな腕時計やバック、靴、指輪等を纏っていた。



え、こいつ普通に金持ちなんちゃう?



『なぁ。』




「な、なに? 」


いきなり問いかけられたせいで声が裏返ってしまった。




すると俺のみっともない姿を見て面白かったのか、男が腹を抱えて笑い始めた。



『なんで声裏がんねんw

あ、でさ、君名前なんて言うん?』




そういえば、まだ名前を教えていなかった。



っていうか、こいつの名前も知らへんし。



「俺は桐山照史。

お前は名前何て言うん?」




『俺は中間淳太。

っていうか、お前の分際で俺にお前なんて普通言われへんよな?』




暖かそうだった人当たりがいきなり強くなった。


正確には、強く、冷たく。



「あ、………ごめんなさい。」




俺はいつの間にか淳太の圧に押されそんな事を呟いていた。



納得いかないとでも言うような表情をちらつかせたが、遠くに何かを見つけたのか少し笑顔になった。




『車、来たで。』




そう言ってから15秒程経った時、目の前に高級感漂う大きな黒い車が止まった。




『ほら、先乗ってええで?』




淳太はドアを開いて待つという俗に言うレディーファースト的な事をしてくれている。





けれどさっきの淳太の怒った様子を思い出すと、足が動かなかった。





『…乗らんの?』






淳太の方を見ると、さっきとうって変わって悲しげな表情で俺を見つめる。






そんな淳太を見ているのが辛くて俺は車の中へと足を持ち上げた。









そして









彼の仕組んだ罠に、足を踏み入れた瞬間だった。









.

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オレンジ染色体(プロフ) - はじめまして。この作品大好きですお忙しいとは思いますが、更新頑張ってください!! (2017年10月8日 14時) (レス) id: c8d9d4df0e (このIDを非表示/違反報告)
阿呆田やで笑 - 続き楽しみにしてます!このあとの展開に期待してます!笑 (2017年7月26日 14時) (レス) id: ef56bcdcce (このIDを非表示/違反報告)
- 続きお願いします!! (2017年7月24日 19時) (レス) id: 691e187b55 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 腐女子友達って我のことかね!?!?(( (2017年6月29日 21時) (レス) id: 2e551f1271 (このIDを非表示/違反報告)
鳳清四郎(プロフ) - いつも楽しく拝見しております。疑問なのですが、R18のフラグはたてないのでしょうか? (2017年6月27日 23時) (レス) id: d8dc3cfa3a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫英 | 作成日時:2016年12月20日 4時

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