ファースト01 ページ10
「待って!先にちゃんと説明してあげよう?」
少しざわめいたその空間を制止したのは圭人さんだった。
「ごめんね?ここに居るのはこれで全員。この洋館にあるものは基本的に何を使っても大丈夫だよ。だけど個人の部屋には勝手に出入りしないでね。」
……それは、そうでしょ。
もし個人の部屋に入ろうものなら大問題だ。
と、言うよりそういう設定は人間のルールと同じなんだね。
「それから、俺達はこれから一緒に過ごす仲間だよ。だから変に気を使わないで?敬語じゃなくたって大丈夫だし、年に一回のハロウィン、楽しもうよ!」
そこはまるで、おとぎの国のようだった。
このまま撮影が永遠に続けばいいのにと思ったほど。
私の緊張もほどよく和らいで、その場の空気に慣れつつあったころ、再びあの質問が舞い戻ってきた。
「ところで人形族って他にはまだいるの?」
「え……?」
どうしよう、他に人形のキャストっているのかな?
もし居たとして、ここで私がどう返事するかによって後の展開が変わっちゃうんだよね?
……それはそれで面白そうだな。
遂に私は舞台を自分のものにした。
楽しむ余裕も出てきて、やっと世界に入り込んだ。
扉を開けて踏み出した一歩。
しかし気付かなかった。
やっと入り込んだと思っていた世界は、既にもう入り込んでいて、狂った世界は奇妙な笑い声を上げていた。
「…分かんない、です。他の皆とは離れて過ごしていたから。」
「え、マジで!?」
過剰に反応したのは魔法使い見習いの裕翔さん。
「もしかして、仲間外れにされてた……とか?」
「いや!そういうことではないんですけど…。」
「何かあったの?」
全員の視線が私に突き刺さるように感じた。
その迫真の演技は私にプレッシャーを与えるには充分。
そして確信した。
…うん、この人たち完璧にプロの役者さんだ。
やっぱりこれはドッキリ説で間違いない。
新人の私をプロの役者の中に混ぜ込んで上手く行くかどうか試してるんだ。
だからプロの役者でも中々見ない、アドリブ映画なんて設定をつけたんだな。
撮影が終わったら、事務所の人に軽く文句でもぶつけてやろうか。
知ってて騙したなって。
「ほらほら、Aちゃん困ってるよ?」
またも助け舟をだしてくれたのは圭人さん。
「ごめんね、悪気があるわけじゃないんだけど…。よし、皆はハロウィンの準備してきて!」
彼の合図で全員が部屋を出た。
「Aちゃんはどうする?」
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春みかん(プロフ) - はい!!またお邪魔します(*’▽’) (2016年3月10日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 春みかんさん» ありがとうございます!大好きなんてお言葉、私にはもったいないです!更新頑張ります。またお時間がありましたらコメント欄にも遊びに来てくださいね! (2016年3月9日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
春みかん(プロフ) - この小説大好きです!!更新頑張ってください! (2016年3月9日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - なる.さん» ありがとうございます!まだまだ至らない点も多いですが、最後までよろしくお願いします! (2016年3月7日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
なる.(プロフ) - この作品、すっごく面白いです、!更新頑張ってくださいさい。楽しみにしてます、! (2016年3月7日 6時) (レス) id: 1c30441fc3 (このIDを非表示/違反報告)
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