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レッド08 ページ48

『終わらない時間が来るのが……怖いの。』


目に浮かべた涙は溢れ出し、少女の頬を伝った。



『……。』

そんな悲痛な彼女の叫びを涼介くんはただ黙って聞いていた。



『……苦しみたくない、辛い思いをしたくない……。』



少女の声が静かな室内に響き渡る。

横たわる少女を支えるように、そこでじっと話を聞いている彼の顔は辛そうで、どこか悲しそうな目をしていた。




『俺と一緒でも、やっぱり怖い?』


涼介くんと一緒なら、永遠という終わりのない時間も怖くない。
私が怖いのは、涼介くんを失うことだ。


確かに彼女はそう言ったのに。

なのに今はまるで矛盾。
彼と生きる道を怖がり、彼を避ける道を選んだ。



『……そっか。』



少女の状態を見る限り、もう術はない。





涼介くんは先端の尖った十字架を取り出した。



『……ごめん、ごめんね……。』



涼介くんは涙ぐむ声で何度もそう呟いた。




そして先の尖ったその十字架を少女めがけて思いっきり振り下ろした。






部屋の中に飛び散る『赤』。




止まらない涙。







涼介くんは夜が明けるまで、息を引き取った少女の傍にいた。






































「……。」



ゆっくりと目を開けると、そこには私の顔を覗き込む涼介くんの姿があった。

「起きた?」

「……うん。」



これまたゆっくりと体を起こし、ふと彼に目を向ける。


「あ…。」



涼介くんの胸元に光る十字架のペンダント。



「……尖ってない…?」

「……!?」

「どうしたの?」

「……知ってるの?」

「何を?」



明らかに不自然な態度で、私と目を合わそうとしない彼。
しかし不思議と、理由は分かってしまう。



私が見ていた夢は、夢ではなかった。
正しくは、涼介くんの記憶。



「全部、見たの。」



それから私は全てを伝えた。


かつて涼介くんが、あの少女と一緒に居た事。
そして『真紅の一族』と呼ばれていたこと。




もちろん、少女の最期も。






「……知られちゃったんだね。」


力なく笑った彼は、あの時と同じ表情をしていた。
寂しそうで悲しそう。


締め付けられる思い。



それは今でも彼を苦しめている。



十字架のペンダントが何よりの証拠だった。



そのペンダントは彼の胸元で、今なお月明かりを帯びて輝いていた。

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春みかん(プロフ) - はい!!またお邪魔します(*’▽’) (2016年3月10日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 春みかんさん» ありがとうございます!大好きなんてお言葉、私にはもったいないです!更新頑張ります。またお時間がありましたらコメント欄にも遊びに来てくださいね! (2016年3月9日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
春みかん(プロフ) - この小説大好きです!!更新頑張ってください! (2016年3月9日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - なる.さん» ありがとうございます!まだまだ至らない点も多いですが、最後までよろしくお願いします! (2016年3月7日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
なる.(プロフ) - この作品、すっごく面白いです、!更新頑張ってくださいさい。楽しみにしてます、! (2016年3月7日 6時) (レス) id: 1c30441fc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天凪 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年2月8日 23時

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