レッド04 ページ44
「いやぁぁぁぁぁ!!!!」
長い長い螺旋階段のど真ん中。
私は涼介くんに抱えられながら飛んでいた。
いや、落ちていた…かな？
「ひゃぁぁぁぁぁ!!!」
もはや絶叫マシーンを越えたスリル。
安全バーなど、もちろんついていない。
・
・
・
「……。」
地面が近づくにつれ、自身の力で飛んでいる涼介くん。
もちろん地面に激突すれば私も彼もかなり痛々しいことになるだろう。
何だか不思議だ。
パラシュートのいらないスカイダイビングみたいだ。
「……あ、ありがとう…。」
ゆっくりと着地して、私を下ろしてくれた。
「…叫びすぎ。」
少し冷たい声に、私は迷惑だったのだと反省する。
「…ごめんなさい。」
「……そんな落ち込むなって。」
「うわっ…。」
不意打ち。
彼は私の頭をめちゃくちゃに撫でた。
「ちょ……ちょっと…！」
これでも一応女の子だ。
髪を乱されるのに、少し抵抗があった。
「…そっちの方が似合ってるかもな。」
「そんな訳ないじゃん!!」
明るく笑う涼介くんに徐々に心が溶かされていく。
じゃあ戻ろうかと、涼介くんが踵を返した瞬間。
「……っ。」
小さな呻き声と、立ち止まる背中。
「…涼介くん？」
「ごめん、目眩。」
貧血気味だと訴えていたのを思い出す。
人間にでもある症状で、特に女の子には多い。
残念ながら私は昔から風邪もなかなか引かないタイプの超健康女子だった。
だけど何となく気分は良くないんだろうなぁくらいには分かる。
「…部屋まで一緒に行こうか？」
「うん、ごめん。」
私は彼が少し落ち着くのを待って、歩き始めた。
彼の部屋に入るのは当然ながら初めてで、変に気を遣ってお邪魔しますと小さな声で言って入った。
整頓された部屋。
シンプルだけど、少しオシャレな彼らしい部屋。
だけど、
「……ベッド…？」
そう、彼が入ったのはベッド。
ヴァンパイアって棺桶で眠るものだと思ってた…。
以前ヴァンパイアは血がエネルギー源で、エネルギーを復活させるためには血を飲んで、棺桶で休まなきゃいけないって聞いたことがあるけれど…。
あれも人間の勝手なイメージ？
てかこれ、誰に聞いたんだっけ…。
うーん、昔の事すぎて覚えてないなぁ…。
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