ナイト03 ページ33
「それって、いいこと?」
「…どうかな?聞いた話、その女の子は病気だったらしいよ。そんなに先の長くない子でさぁ。そのまま生き続けてもただ苦しいだけだったんだ。」
「それで、寿命を?」
「うん。結果としてはその子はそれ以上苦しまずに済んだし、高木も寿命を手に入れることが出来た。」
だけど何かダメなんだよね。
何が悪かったんだろう?
自分には分からない、だって俺バカだし。
大ちゃんはそう言って笑っていた。
「ちなみに大ちゃんは?」
「俺は単に社会的に嫌な人とか?」
キラキラした笑顔の裏に秘めていた本性。
そう言えば、ジャックや圭人くんは大ちゃんに気をつけろと言っていた。
「何か感じ悪い人とか居るじゃん?無能なのに自分は有能な人ぶってたりとか。そういう誰からも愛されない、憎まれてる人がメイン。」
人の行いで全てを決めているようだった。
「でも、もしかしたらその人を必要としてくれる人もいるかもしれないよ?」
誰かにとっての敵は誰かにとっての味方なのだから。
「誰からも必要とされない人しか狙わないから大丈夫だよ。」
大ちゃんは表情一つ変えなかった。
それどころか、笑みを浮かべていた。
「…あ、決まったかも。」
彼の目の前にいるのは40代くらいの男性。
「…よく生きてられるよね。罪を他人に擦り付けて。」
大ちゃんは鎌を振り上げた。
私はその光景を見ていることしか出来なかった。
彼を止めることはしなかった。
振り上げた鎌を迷いなく振り下ろす大ちゃん。
その男性の体は切れなかった。
鎌は体をすり抜ける。
男性に変化はなかった。
「…寿命はあと3年ってとこかな。」
「……この人は何をしたの?」
「人の命を奪っておいて、その責任を他人に擦り付けたんだよ。最低だよね。」
不思議と反論する気にはなれなかった。
「…。」
「そんな暗い顔しないで?」
「…私、暗い顔してるかな?」
「そろそろ高木も良いんじゃないかな?」
少し遠くで大きな鎌をまるで舞のように操る姿を見てそう言った。
「あれは、何をしてるの?」
「世界中の人から1時間だけ時間を分けてもらってるんだよ。」
「そんなこともできるの?」
「うん。世界中の人から1時間だからかなりの時間になるでしょ?」
計算の苦手な私にとっては嫌な質問だったけど、それでも私は頷いた。
「あ、でもAちゃんの分は貰ってないかもね。」
大ちゃんは少し意地悪そうに、にひひと笑った。
63人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春みかん(プロフ) - はい!!またお邪魔します(*’▽’) (2016年3月10日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 春みかんさん» ありがとうございます!大好きなんてお言葉、私にはもったいないです!更新頑張ります。またお時間がありましたらコメント欄にも遊びに来てくださいね! (2016年3月9日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
春みかん(プロフ) - この小説大好きです!!更新頑張ってください! (2016年3月9日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - なる.さん» ありがとうございます!まだまだ至らない点も多いですが、最後までよろしくお願いします! (2016年3月7日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
なる.(プロフ) - この作品、すっごく面白いです、!更新頑張ってくださいさい。楽しみにしてます、! (2016年3月7日 6時) (レス) id: 1c30441fc3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ