ナイト02 ページ32
私が普段ショッピングに来る店も、普段は人気で客足の絶えないカフェも。
全てが息を止めたかのように静かな空間だった。
人間は確かに存在しているが、呼吸を止め、そこに立ち尽くしているようだった。
それはまるでオブジェ。
それはまるで人形。
｢変なの。｣
普段は忙しなく動き続ける人間が止まっていようが私は不気味だとは感じなかった。
それどころか、何も感じなかった。
｢年に1回、こうして寿命を分けてもらうんだよ。｣
大ちゃんは小柄な鎌を携え、無邪気に笑った。
｢……大ちゃんの鎌は小さいんだね。｣
私が本やドラマの世界で見てきた死神は黒いローブを羽織って、大きな鎌を持っていた。
確かに黒いローブを羽織って鎌を持っている。
しかし、思ったより本人は明るくてクールな印象はないし、なにより鎌も使いやすさを重視した小柄なもの。
｢俺、あんまり力は強くないからさ…。｣
仕方ないんだよね、と最もらしい理由を添えて。
一方の高木くんは一般世間のイメージ通りの死神像。
黒いローブに大きな鎌。
しかし彼は時の止まっている人間を一人一人見ては違うと呟いて何かを物色していた。
｢…やっぱ居ないよなぁ。｣
高木くんの後をただついて行くだけの私。
それに気づいた彼は、
｢ごめんね、俺すっごい時間かかるから。｣
丁寧に説明までしてくれた。
｢…誰かを探しているの？｣
｢うん、ちょっとね。｣
また1人、違うと言ってその隣の人に目を向ける。
｢私も手伝おうか？｣
1人より2人の方が早いでしょ？
そんな私の提案を彼はバッサリ切り捨てた。
｢いや大丈夫、多分無理だから。｣
｢…無理？｣
｢俺が探してんのは『寿命を奪った方がいい人』だから。｣
そう言い切って何食わぬ顔でまた人探しを始めた。
しかし私の足取りは少し重い。
寿命を奪った方がいい人なんて、いるのだろうか？
それまでは彼の後ろをついて行ったのに、足が止まり、周りの人たちとは呼吸をしているかだけの差になった。
｢あんまり気にしちゃダメだよ？高木、昔からそうなんだ。｣
大ちゃんは私に大丈夫と言わんばかりに頭を撫でた。
そんなに変わらない身長の彼は、高木くんに聞こえない小さな声でこう言った。
｢…高木ね、昔人間の女の子と色々あったんだよ。｣
｢…色々って？｣
｢…苦しんでた女の子を早く楽にする為に寿命を奪ったんだとか。｣
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春みかん(プロフ) - はい！！またお邪魔します(*’▽’) (2016年3月10日 22時) (
レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 春みかんさん» ありがとうございます！大好きなんてお言葉、私にはもったいないです！更新頑張ります。またお時間がありましたらコメント欄にも遊びに来てくださいね！ (2016年3月9日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
春みかん(プロフ) - この小説大好きです！！更新頑張ってください！ (2016年3月9日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - なる.さん» ありがとうございます！まだまだ至らない点も多いですが、最後までよろしくお願いします！ (2016年3月7日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
なる.(プロフ) - この作品、すっごく面白いです、！更新頑張ってくださいさい。楽しみにしてます、！ (2016年3月7日 6時) (レス) id: 1c30441fc3 (このIDを非表示/違反報告)
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