トリック10 ページ30
「魔女にとって人間って何?」
裕翔くんの魔力を奪ったせいか、先程までの攻撃が全て無効になっているように感じられた。
「…人間?ふふ、そうねぇ。生贄…かしら?」
「……なら、私を使えばいい。」
私は手を差し出した。
「Aちゃん!?」
誰が叫んだのかなんて興味もない。
「私は人間。さっきの血が証明よ。」
「……へぇ、そう。生憎人間には興味はないと思っていたのだけれど…気が変わった。」
魔女が完璧に私に興味を持った。
それが私にも分かった。
「どうやってこの世界に来たのかは知らないけど、認めてあげるわ。」
魔女が私の差し出した手を握ろうとした。
高笑いする魔女。
しかし高笑いは止み、私の顔や服には返り血がべっとりと付いていた。
「……な…んで……っ!?」
私の目の前に倒れ込む魔女。
その腹部には大きな傷跡。
そして魔女の後ろには見たこともない、冷淡な表情で血のついた剣を両手に持つ圭人くんだった。
しかし、それは彼ではなかった。
『これで任務遂行、だな。』
冷たい目をした圭人くんの口から発せられたのは明らかにジャックの声だった。
・
・
その後、私や他の皆が光くんによって治療を受けた後、緊急会議が行われた。
内容はもちろん分かっていた。
「Aちゃんは人間なの?」
「……うん、ごめんね。」
こんなに早くバレちゃうなんて。
本当についていない。
というよりは私の力量不足なんだけどね。
ここに来た経緯。
それから人形族を偽っていたこと。
逃げられないのを観念して全てを話した。
しかし返ってきたのは意外な答え。
「元の世界に帰れるまで、ここに居ていいよ。」
「……え?」
「Aちゃんは俺達を助けようとしてくれた。それで差し引きはないよ。」
全員が受け入れた表情。
「……でも、私は人間だから。」
「大丈夫だよ。一緒に楽しもうよ、ハロウィン。」
圭人くんは手を差し出した。
私は戸惑いながらも手をとった。
それから皆と打ち解けるのに時間は掛からなかった。
むしろ人形族を偽っていた頃よりもすんなりと入り込めた。
誰も私を責めるようなことは言わない。
人間というイレギュラーな存在に興味を持ったらしい彼らとの会話は長い間続いていた。
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春みかん(プロフ) - はい!!またお邪魔します(*’▽’) (2016年3月10日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 春みかんさん» ありがとうございます!大好きなんてお言葉、私にはもったいないです!更新頑張ります。またお時間がありましたらコメント欄にも遊びに来てくださいね! (2016年3月9日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
春みかん(プロフ) - この小説大好きです!!更新頑張ってください! (2016年3月9日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - なる.さん» ありがとうございます!まだまだ至らない点も多いですが、最後までよろしくお願いします! (2016年3月7日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
なる.(プロフ) - この作品、すっごく面白いです、!更新頑張ってくださいさい。楽しみにしてます、! (2016年3月7日 6時) (レス) id: 1c30441fc3 (このIDを非表示/違反報告)
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