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トリック08 ページ28

「ハロウィンに叫び声は絶好のパフォーマンスよ?」


魔女は私を掴んで離さなかった。


「や…離してくださいっ……!!」


割と力は強い方だと思っていた私が、どれだけ足掻こうが全く反応を見せない魔女。
左手で私を掴む反面、右手には杖。



「Aちゃんっ!!」


恐怖が数段、軽くなった。
圭人くんをはじめ、全員がそこにいたから。



『あんたどっから入ったんだよ。』

「あらランタンさん、ここの結界って薄いのね。」


私のすぐ近くで高笑いする魔女。


『…反逆者め…!!』

「何とでも言いなさいな。」


私の手は恐怖で震えていた。


怖くない、怖くない。
何度もそう言い聞かせているはずなのに、実際はとてつもなく怖い。



「……さぁ、末裔はどこ?」


魔女の一言で全員の表情が変わる。



『…あんたそれが狙いか?』


「……もたもたされるの、大っ嫌いなの。」

魔女の声が次第にイラつき始めているのを感じた。
何もできない私は見守っていることで精いっぱい。




「……じゃあこの子を殺そうが私の自由ね?」


妖しい光を発する杖を私の方に向けられる。


「……さよなら。お人形に生まれた事を後悔するのね!」


ザシュッ……!!


嫌な音と、右腕に走る激痛。
何が起こったのか分からなかった。
だけど一つだけ、確かなことがある。


私は魔女の手から解放された。



しかしそれも束の間。
右腕に深い切り傷が出来ていた。


「あら、種族違いね!お人形さんに温かい血が流れているはずないもの。」


流れる血。
こんなの人間の世界では大けがだ。


その場に倒れ込んで必死に腕を抑えていた。


「Aちゃん!!」


光くんの声。


「……後でちゃんと治療するから。」
そう言って取り出したのは杖。
魔法使いの光くんは私の傷口に魔法を掛けた。



痛みは少しずつ引いて、血は止まる。
傷口は治っていなかったけれど、一大事にはならずに済んだ。


「……あんたの寿命、そのまま俺に頂戴?」


冷たい声。
そこには黒いローブと少し小ぶりの鎌。


『……!!大貴、駄目だ!』

「…何で?」

『モンスターの寿命は削れない!無駄なんだよ。』


第一印象、笑顔。
その彼が冷たい目で魔女を見ている。

「……いいじゃん。人間の世界でもそうだよ?能力のある者だけが成り上がって、能力のない者は一生負け犬のままなんだよ?」

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春みかん(プロフ) - はい!!またお邪魔します(*’▽’) (2016年3月10日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 春みかんさん» ありがとうございます!大好きなんてお言葉、私にはもったいないです!更新頑張ります。またお時間がありましたらコメント欄にも遊びに来てくださいね! (2016年3月9日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
春みかん(プロフ) - この小説大好きです!!更新頑張ってください! (2016年3月9日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - なる.さん» ありがとうございます!まだまだ至らない点も多いですが、最後までよろしくお願いします! (2016年3月7日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
なる.(プロフ) - この作品、すっごく面白いです、!更新頑張ってくださいさい。楽しみにしてます、! (2016年3月7日 6時) (レス) id: 1c30441fc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天凪 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年2月8日 23時

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