トリック04 ページ24
その日の8時。
俺は今日あったことを全部、報告した。
広間に居るのはAを除いた全員。
どうして彼女がいないのか、それは単純な理由。
この話をするのに、彼女が邪魔だったから。
「……Aって、一体何者なの？」
このハロウィンの管理人である圭人に投げかけた質問。
しかし彼は首を横に振った。
「分からないんだよね。今年、人形族が増えるなんてシナリオはどこにもないし。」
全ては闇の中。
「…何が目的なのか分からないけど、今は様子を見てたほうがいいかな？」
「何か……変じゃない？」
それぞれが話をする中、一番勘の鋭い知念が言ったことにより場の空気は深刻になる。
「……あの子、何か怖い。」
「……イレギュラーだね。」
圭人の発言に、皆が耳を澄ませた。
ここでは管理人である圭人の言う事に従わなくてはいけない。
とはいえ彼はそんなに独断主義者でもないし、皆の意見を平等に取り入れる。
だからここに居る全員が彼を信じて、彼の言う事に従う。
「皆は、どうしたい？」
「どうしたいって…？」
「彼女を仲間として迎え入れるか、『あの子たち』みたいに『壊す』か。」
圭人が壊すと言った瞬間に、そこにいた全員が何かしらの動揺を見せた。
「……やっぱり抵抗あるよね。」
文字通りの壊すことに、抵抗があるのは皆が同じ。
「過去を忘れろとは言わないけどね。それに悪いのは俺達じゃない。」
かつてこのハロウィンの世界に生きるモンスターたちが総出で、人形族を文字通り壊したことがある。
人形の体は、それぞれの部位を球体関節で繋いで作られている。
だから簡単。
壊すのは、すごく簡単。
一方的に思われたこれも、ちゃんと訳がある。
人形族はかなり傲慢で身勝手で、他のモンスターの迷惑を顧みない連中だった。
一言で言えば最低。
見た目こそは綺麗なものの、心はどのモンスターよりも性悪。
そして絶対に他のモンスターとは関わらない。
正直、ハロウィンには邪魔だったんだ。
だからこのハロウィンに関係するモンスターが全員で決めた。
人形族は、仲間外れだと。
それから人形族をこのハロウィンで見ることはなくなった。
もちろん、俺達が全て壊したから。
だけど予想外。
まだ生き残りが居たなんて。
だけどその生き残りは何だか変だ。
今までの人形族とは何かが違う。
微塵も見せなかった。
彼女の人形族らしいところを。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春みかん(プロフ) - はい！！またお邪魔します(*’▽’) (2016年3月10日 22時) (
レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 春みかんさん» ありがとうございます！大好きなんてお言葉、私にはもったいないです！更新頑張ります。またお時間がありましたらコメント欄にも遊びに来てくださいね！ (2016年3月9日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
春みかん(プロフ) - この小説大好きです！！更新頑張ってください！ (2016年3月9日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - なる.さん» ありがとうございます！まだまだ至らない点も多いですが、最後までよろしくお願いします！ (2016年3月7日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
なる.(プロフ) - この作品、すっごく面白いです、！更新頑張ってくださいさい。楽しみにしてます、！ (2016年3月7日 6時) (レス) id: 1c30441fc3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
