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トリック03 ページ23

「何が意外なの?」

「いやー、人形族って仲間意識すっごい強いのにって思ったら…。」



あぁ、確かにそんなことも書いていたかな。


「……偏見だよ、へ・ん・け・ん!」


いつしか不気味に光る、カボチャのランタンが言っていた言葉をそのまま彼に投げかけた。
何故か気持ちは数段楽になっていた。
それが何でなのかは私にも分からなかったけど。



「山田くんから見た人形族って、どんな感じなの?」

「あ、待って。涼介って呼んで?」

「………うん。」


彼の調子に乗せられているような気もしたけれど、それはそれ。


「気を悪くしないでね?人形族は…ちょっと近寄りがたい、かな?」

「……近寄りがたい?」

「うん。決して悪く言ってるんじゃないんだけど、自分たちだけで生きてるって感じするし、他のモンスターたちとは関わらないからね。」


私は呆然と彼の話を聞いていた。
そして、開いていた本を閉じた。


既に私は他のモンスターと交わっている時点で人形族の形を無視しているんだ。
だったら今さら付け足す設定なんてないんじゃないか。


設定なら自分で作ればいい。
生物学の突然変異が認められるならこれもありだ。
私は普通とは違う人形族。

自分が動きやすいように、設定をカスタムすればいい。


「私ね、今までずっと人間の世界に居たんだ。」


自分がこの世に生まれてから仲間の人形族に出会ったことはなかった。
私はずっと一人だった。


だから人形族がこの世界で、こんなに楽しいハロウィンを他のモンスターたちと楽しまないで、見下しているような態度を取っているなんて知らなかった。

私は、何も知らなかった。



あくまで私は私。
一族は一族。
同じ血が流れていようとも知らない事実だった。


だからここに来たときに驚いた。
ハロウィンの世界があったなんて知らなかった。
この世に他のモンスターが居るなんて知らなかった。
とても驚いた。


人間の世界のことしか知らない私にとって、ここは夢の世界。
こんなに楽しい場所があるなんて。
私の本来いるべき場所はここなんだって、初めて思えた。


私が人形族ってだけで嫌に思っちゃう人もいるかもしれない。
だけど私は皆とは違う。


私はたくさんのモンスターと一緒にこの素敵な夜を楽しみたいの。




精一杯頭で考えたその『設定』。
私が必死に話すと、彼は真剣な表情で私を見た。


そして頷いた。

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春みかん(プロフ) - はい!!またお邪魔します(*’▽’) (2016年3月10日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 春みかんさん» ありがとうございます!大好きなんてお言葉、私にはもったいないです!更新頑張ります。またお時間がありましたらコメント欄にも遊びに来てくださいね! (2016年3月9日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
春みかん(プロフ) - この小説大好きです!!更新頑張ってください! (2016年3月9日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - なる.さん» ありがとうございます!まだまだ至らない点も多いですが、最後までよろしくお願いします! (2016年3月7日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
なる.(プロフ) - この作品、すっごく面白いです、!更新頑張ってくださいさい。楽しみにしてます、! (2016年3月7日 6時) (レス) id: 1c30441fc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天凪 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年2月8日 23時

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