ファースト08 ページ17
｢もし何か必要なものがあったらジャックに言ってね。｣
一人部屋にしては広い空間。
ベッドと何も入っていない棚、お洒落なカーテンにキャンドル。
本当におとぎの国にいるみたいな感覚。
｢圭人くん、図書室にあった本は持ち出してもいいの？｣
｢ちゃんと元に戻してくれさえすれば大丈夫だよ。何かいい本でも見つけたの？｣
｢えーと、モンスターについての本を…ね。｣
お洒落な窓の外、闇夜に浮かぶ満月が不気味に輝いていた。
｢あそこにあるモンスターの本は宛にはならないよ。なんて言うのかな、偏見？｣
『偏見だよ！へ・ん・け・ん！』
｢ひっ……。｣
未だに慣れない喋るランタン。
ハロウィンに持ってこいな形をしているこのカボチャ型ランタンモンスターは、大きな声でこう言った。
『あれは人間の書いた本なんだよ！勝手にモンスターを研究して、出任せなことを書きやがって…！第一、魔法使いが全員ホウキで空を飛ぶわけないだろう！』
｢えぇっ!?飛ばないの!?｣
『あんたも知らないのか？モンスターなら知ってて当然だろ？』
当然、なのかな？
少なくとも私の知っている魔法使いは大抵空を飛んでいた。
かの有名なアニメ映画の、大きな赤いリボンをつけた少女だって、ホウキで飛んでたのに。
確か相棒は黒猫だったはず…。
もしかして、光くんや裕翔くんはあの黒猫さんたちが相棒だったりするのかな？
『あんた、本当に何も知らないんだな。どこから来たんだ？』
｢……人間の世界から来ました。｣
『…ケッ、何が良くて人間の世界なんかに……。』
｢…ジャック、そこまでにしよう？俺達が訳ありなように、Aちゃんにも何か理由があるのかもしれない。｣
『……あんまり肩入れするなよ？』
｢分かってるよ。｣
圭人くんは右手に持ったジャックをそっと、何もない棚に置いた。
｢もしAちゃんが知りたいなら教えるよ？皆のこと。｣
｢えっ、いいの？｣
｢もちろんだよ。｣
｢んー、まずはヴァンパイアからでいいかな？ちょっと説明するのは下手だけど許してね？｣
窓の外に大きく不気味な光を放つ月は、窓から私たちを覗いているようだった。
月が笑いだしたら、それが合図。
誰もが待ち望んだ史上最高の夜の始まり。
だけど私か、彼ら。
どちらかにとっては史上最悪の夜の始まり。
夜明けを待ち望む哀れなモンスター達。
不気味な夜は、闇に包まれた。
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春みかん(プロフ) - はい！！またお邪魔します(*’▽’) (2016年3月10日 22時) (
レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - 春みかんさん» ありがとうございます！大好きなんてお言葉、私にはもったいないです！更新頑張ります。またお時間がありましたらコメント欄にも遊びに来てくださいね！ (2016年3月9日 22時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
春みかん(プロフ) - この小説大好きです！！更新頑張ってください！ (2016年3月9日 22時) (レス) id: fc4caac89c (このIDを非表示/違反報告)
天凪(プロフ) - なる.さん» ありがとうございます！まだまだ至らない点も多いですが、最後までよろしくお願いします！ (2016年3月7日 7時) (レス) id: a99f998358 (このIDを非表示/違反報告)
なる.(プロフ) - この作品、すっごく面白いです、！更新頑張ってくださいさい。楽しみにしてます、！ (2016年3月7日 6時) (レス) id: 1c30441fc3 (このIDを非表示/違反報告)
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