じゃんぷはお医者さん

３ いのお先生・ちね風邪 ページ11

侑李さいど


なんか怠いなぁ…


「いいですね！それぞれ目線外しましょう。」


パシャ、パシャッ


カメラのフラッシュを浴びる度、頭がクラクラする。


涼「大丈夫か？」


隣に立っている涼介がポーズを変えるタイミングで話しかけてきた。


皆に気づかれないようにしてたのに。


まだ、いける。ここで撮影を止める訳にはいかない。


そう思った僕は、平静を装って「大丈夫」と短く答えた。


涼「…そっか。」


大丈夫。あと少し、あと少し…


髪で隠れた額は、うっすら汗をかき始めていた。


「はい、オッケーです。以上になります！」


「お疲れ様でした〜」


無事に撮影が終わり、ホッとする。


でもそれがダメだった。


ガクっと力が抜け、まるでスローモーションのように膝から崩れ落ちていく。


気づいてもらいたくても、みんなは前をスタスタ歩いていく。


あ、倒れる…


そう思っていたら、誰かの腕が伸びてきて受け止められた。


力が入らないまま座り込んでその顔を見上げる。


慧「知念？大丈夫？」


「いのちゃん…」


近くにいたんだ。そんな事を呑気に思っていると、涼介がこっちに駆け寄ってくる。


涼「どこが大丈夫なんだよ。」


慧「まあまあ。ここじゃアレだし楽屋行こう。ね？」


いのちゃんが周囲に駆け寄ってくるスタッフさんたちを見て言った。


涼介もそれを見て気づいたらしく、深くは追及せずに楽屋に行くことを優先した。


慧「立てる？」


「ん……あっ…力入んない…」


どうしよう…


予想外に足に力が入らず泣きそうになっていると、涼介が背中を差し出してきた。


涼「ほら。」


乗りたいな…でももうちょっと頑張れば歩けるかも。なんて乗るのを躊躇っていたら後ろから物凄い力で体を持ち上げられた。


慧「よいしょっ…と。」


「ありがとう…」


慧「知念軽いから平気だよ。それに後で診察も頑張らないとだからね。」


診察なんて受けなくても治るもん。


そう思ったけど、その前に涼介が僕を背負って歩きだした。


後ろから背中に手を当てて僕が落ちないようにしてくれているいのちゃんに、改めて伝える。


「いのちゃん、げほっ…僕いっぱい寝たら治るから大丈夫だよ？」


慧「そっかそっか〜。」


…あれ？納得してくれた？
次の言葉も用意してたのにな。


涼「着いたよー。」


楽屋に着くと、他のメンバーが気づいてわらわら集まってきた。


裕「大丈夫？お熱かな。」


圭「ピピッてしようね。」


侑「……」

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