新しい生活の始まり ページ34
A side
靴を履いて改めて家の中を見る。
数日前までは家具が置いてあった家も今は殺風景になっている。
必要なものだけは纏めて学校に送り、使わないソファや冷蔵庫等はリサイクルショップに出したり実家に送ったりした。
『私が日本で暮らすために揃えただけだったからな』
がらんとした部屋に少し物悲しさを覚えながらも、頭を下げた。
『今までお世話になりました』
ドアを開けて外に出る。
雄英高校での寮生活が今日から始まった。
･
雄英高校の敷地内、校舎から徒歩五分。
ほぼ校舎の目の前といってもいいような場所に私たちの家が出来ていた。
『大きいねー』
「寮生活なんてワクワクしちゃうね!!」
腕をブンブンと振って楽しそうな透ちゃんに微笑みつつ、寮の前に集まる。
「とりあえず1年A組無事にまた集まれて何よりだ」
先生の言う通りA組のみんなに会うのはすごく久しぶりな気がする。
寮生活の許可に苦戦した家もあったらしく、夏合宿でガスの被害に直接あった透ちゃんと耳郎ちゃんは苦労したらしい。
「無事に集まれたのは先生もよ。
会見を見た時はいなくなってしまうのかと思って悲しかったの」
「…俺もびっくりさ。
まァ色々あんだろうよ」
一瞬先生の視線が横にずれたが、空気を切り替えるように先生が手を叩いた。
「さて…！これから量について軽く説明するが、その前に一つ。
当面は合宿で取る予定だった″仮免″取得に向けて動いていく」
「そういやあったなそんな話!!」
「色々起きすぎて頭から抜けてたわ…」
『そのための″個性″伸ばしだったもんね』
「大事な話だ、いいか」
騒ぎかかった雰囲気が先生の一言によりまた静かになる。
「轟、切島、緑谷、八百万、飯田。
この5人は
「え……」
しん、と辺りが静まり返って、自分の掌に嫌な汗が浮かんだ。
「その様子だと行く素振りは皆も把握していたワケだ。
色々棚上げした上で言わせて貰うよ。
オールマイトの引退がなけりゃ俺は爆豪･空間･耳郎･葉隠以外全員除籍処分にしてる」
「!?」
「彼の引退によってしばらくは混乱が続く…敵連合の出方が読めない以上、今雄英から人を追い出すわけにはいかないんだ。
行った5人はもちろん把握しながら止められなかった12人も理由はどうあれ俺たちの信頼を裏切ったことには変わりない」
･
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作者名：だし丸 | 作成日時：2019年9月4日 14時
