空腹は最高のスパイス ページ4
A side
「轟ー！こっちも火ィちょーだい」
「爆豪、爆発で火ィつけれね？」
「つけれるわクソが!」
『爆豪くん!!全部吹っ飛んだよ!?』
せっかく組み立てた土台が爆豪くんによって全て吹き飛んでしまった。
「皆さん！人の手を煩わせてばかりでは火の起こし方も学べませんよ」
そういう百ちゃんは手早く手からチャッカマンを創り出した。
こういう場面だと百ちゃんの″個性″は便利だな。
『私の″個性″ならどうやって火をつけられるんだろう？』
土台を一から組み立てながらブツブツと考える。
『乾燥させる？圧力加えるとか？あとは塵？』
やってみよう、と思い手を出したが
『いや、爆豪くんの二の舞になりそう』
今の私じゃどれをやっても爆発させそうだ。
「あ"ぁ？なんか言ったか空気女!!」
『ナンデモナイヨー。
焦凍くん、こっちもお願いしていい？』
大人しく焦凍くんに頼んでおくのが1番だ。
「ああ、分かった」
焦凍くんはすぐに来てくれて、屈んで左手から炎を出す。
『……何か良いことあったの？』
同じように屈んで火の様子を見ていた私は焦凍くんに聞いた。
「なんでだ？」
焦凍くんは私の質問の意図が分からないようで、不思議そうな表情で軽く首を傾けた。
『いや、なんか──嬉しそうだったから』
なんとなく、いつもクールで落ち着いた表情をしている焦凍くんが、今は穏やかな表情を浮かべていた気がする。
「そうか？いつも通りだけどな」
『そっか、じゃあ私の気のせいだね』
「おーい、Aちゃーん、こっち来て〜」
『はーい、今行くね！』
「いただきまーす！」
「店とかで出たら微妙かもしれねーけどこの状況も相まってうめ──!!」
「言うな言うなヤボだな！」
完成したカレーは、鋭児郎くんの言う通り普通の出来かもしれないけど、お腹が減ってるせいでそんなの関係なしにすごく美味しい。
「ヤオモモがっつくねー！」
「ええ、私の″個性″は脂質を様々な原子に変換して創造するので、沢山蓄えるほど沢山出せるのです」
「うんこみてえ」
失礼なことを言って耳郎ちゃんに殴られた瀬呂くんに、追い討ち度ばかりに絞め技をかける。
「何が″個性″だ…本当…下らん…!!」
ギリギリと瀬呂くんの腕を固めているとふと、そんな言葉が聞こえてきた。
『？』
「空間、ギブ！ギブ!!」
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作者名：だし丸 | 作成日時：2019年9月4日 14時
