炊き出し訓練？ ページ3
『(集中…集中…集中…集中)』
広場の一角でAは目を閉じて深呼吸を繰り返していた。
その手は空気を掴むように前に突き出されていて、その先にはサッカーボール程の大きさの土の塊が浮いている。
『(形を維持して、浮かせると同時に【パーソナルスペース】の拡大と、それから酸素の補給しつつ──)』
「イエッサー!!」
『!?』
突然の叫び声にAの肩がビクリと揺れた。
その瞬間
『あっ!!!』
バァンッッ!!!と破裂音と共に土の塊は跡形もなく弾け飛んだ。
「うわッッ!!」
「なんだコレ!?」
「土が飛んできた!!」
勢いよく弾けたせいで、少し離れて説明を受けていたB組生徒の元にまで飛んでいってしまったらしい。
『ご、ごめんなさい!!怪我は──うぇッ!!』
慌てて走りよったAの身体に巻き付く細長い布。
その持ち主は言わずもがな相澤で、髪は逆立ち目が光っていた。
「空間…集中を切らすなと何度も言ってるだろ」
『アッ…ハイ、スミマセン』
ギチギチと捕縛武器がAの体を締め付けた。
いつもより低い相澤の声にAは顔が青くなる。
実際、Aはさっきから何度もこうして土を爆発させ、その度に相澤に叱られていた。
「危ないから気をつけろ」
『ぁぃ……』
しゅんと落ち込みながらAは改めてB組生徒に謝り、また元の場所に戻っていく。
『う〜…難しい』
Aは地面に落ちている土を″個性″でかき集めながらまた塊を作り、それを宙に浮かせた。
『大きさがバラついてきた、もうちょっと土を…あ──』
また破裂音が響いて、Aは背後に立つ相澤の殺気に背筋を震わせる。
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PM4:00
「さァ昨日言ったね「世話焼くのは今日だけ」って!!」
「己で食う飯くらい己でつくれ!!カレー!!」
「イエッサ…」
慣れない環境でこれでもかと″個性″を使用した両クラスの生徒は、疲れきった様子でその場に立ち尽くしていた。
もはや返事さえ覇気がない。
「アハハハハ全員全身ブッチブチ!!
だからってば雑なネコマンマは作っちゃダメね！」
「確かに…災害時など避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環…さすが雄英無駄がない!!
世界一旨いカレーを作ろう皆!!」
「(飯田便利)」
飯田に促されそして自分たちの食事ということもあって、疲労困憊ながらも生徒たちはノロノロとカレー作りを始めた。
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作者名：だし丸 | 作成日時：2019年9月4日 14時
