【ヒロアカ】強くなりたい 4 (ページ11)

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鎖ページ11

『ハッ…ハッ………』

地面に降りたAは後ろを振り返る。

『付いて、来てない』

軽い息切れを起こしながらAは訝しげに眉を寄せた。

『見失ってくれた？』

周りを見ても脳無らしい姿は見当たらず、木をなぎたおすような音も聞こえてこない。

ひとまずAは呼吸を落ち着かせると″個性″を発動して周りの様子を探る。

『ダメだ、やっぱり遠すぎて様子が分からない。

デクくんと洸汰くんも無事だと良いんだけど…』

空気から伝わってくるのは、微かな火の気配。

空を見上げれば遠くの方ではまだ黒い煙が空に上がっていくのが見える。

『さっきの脳無、どこに──ッ!!』

サッとAの顔色が変わる。

咄嗟に屈んだAの頭上に、何かが走った。

辺り一面を巻き込むようにして木が倒されていく。

『それが君の″個性″か……』

ジャラリ、ジャラリと金属が引きずられる音。

倒された木を踏みつけて近寄ってくる脳無にAは顔を歪めた。

腕が変形して鎖に変わっている。

「グオオオオ!!!」

脳無はAの姿を見つけると獣のように唸りながら腕を振り上げた。

しなるように鎖が跳ねて周りの木を削る。

『ッこの!!』

迫り来る鎖を避けながらAは走り出す。

再び空気を踏みつけた瞬間

『なッ!?』

Aの片足に鎖が巻き付く。

「ガアアアアア!!」

『!?』

脳無がAの足に鎖を巻き付けたまま腕を大きく振り払ったせいで、Aの体は地面に叩きつけられボールのように跳ねた。

『ゲホッ!!』

片腕で体を起こすAだが、その目は焦点が合わず視線が定まらない。

「ガアアッッ！」

追い打ちをかけるように地面のすぐ上を鎖が滑った。

『チッ!!』

間一髪で避けたAは周りを見て舌打ちをする。

『(最悪だ、逃げようにも鎖で捕えられるし…何より周りの木がなぎ倒されたせいで上手く森の中に紛れ込めない…)』

木が倒されたことにより視界が広くなり、逃げようにも逃げられないAは脳無を睨みつけた。

脳無はAを逃すまいと視線を外すことは無い。

脳無の攻撃を避けながらAは必死に頭を働かせた。

『(避けてばかりじゃ私の体力が尽きる…腕や足で防いでも、あの鎖と接触したら飛ばされるか…少なくとも怪我は増える…なら反撃、はダメだ!!同じ過ちは繰り返さない…どうすればいい、どうすれば、どうしよう、どうしよう…分からない)』

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